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15-銀の飼育日記⑥
みるくの頬の腫れがなかなか引かない。
「みるく、痛いでしょう?」
「ううん、へーき」
グラマラスのラボに行っておやつをもらい、また、銀のラボに戻ってきた二人。
最近、食欲のない銀は今日も水しか口にしていない。
肌の白さが増して嗜虐的唇がさらに血潮を纏ったような色合いになっていた。
「ままのおくちーこれといっしょ!」
数切れのケーキが乗った皿を手にしたみるく、ショートケーキの苺を指差してあどけなく笑った。
先ほど、クロに向けられた魔獣さながらの殺気はどこにもない。
無害な、かわいらしさも備えた、イケメン猫耳魔物だ。
コントロールしなければと思う反面、みるくの最終形態がどんなものか、マッドサイエンティストとして銀はとても興味がある。
今度、いけ好かない黒眼鏡を拘束して、みるくの前に差し出してみましょうかね。
そうすればみるくも傷つかないし、僕も溜飲が下がるし、一件落着というものです。
「はい、まま」
濡れた光を常に帯びる妖しげな双眸前に苺が突き出された。
銀は、失笑し、首を左右に振る。
「これきらい?」
「僕ぁ食欲がないんです」
みるくは自分で苺をむしゃむしゃ食べた。
手術台に並んで座り、銀の隣でおいしそうにタルトを頬張る。
「これはー?」
小粒のブルーベリーを差し出されて、銀は、首を左右に振る。
「みるくが全部食べなさい」
「ふぇーこれもきらい?」
「嫌いじゃないんです、食べれないんです」
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