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15-2
猫耳と頭を撫でてやると、みるくは気持ちよさそうに目を閉じた。
銀はそんなみるくに自然と口元を綻ばせて撫で続けてやる。
ふと大きな双眸がぱちっと見開かれた。
「そぉだ、まま、まま」
「何ですか?」
「ままが前にしてくれた!」
「?」
「まま、前に、してくれた」
「えっと、何の話でしょうか、みるく?」
「みるく、ままに、してあげる!」
全く意味を拾えずに首を傾げる銀の隣で、みるくは、ブルーベリーをぱくっと頬張った。
そして。
銀の顔をいきなり自分の方へ傾け、上向かせて。
唇で唇を覆った。
銀の濡れた双眸が大きく見開かれる。
あまりにも突然の出来事にじっとしていたら、舌で唇を押し開かれて、口内に甘酸っぱい木の実が運ばれてきた。
みるくは銀が自分に口移しでミルクを与えてくれたことも覚えていたのである。
「ままーおいしい?」
すぐに顔を離したみるくに問いかけられて、銀は、ブルーベリーを緩々噛んで飲み込んだ。
「……おいしいですよ」
「やったー、まま、すきー」
無邪気に笑って銀に抱きついてきたみるく。
甘い、甘すぎます。
でも、何でしょう。
何だかこの甘さに身を委ねるのも構わないような気がしてきました。
甘いケーキの香りがふんわりする中、銀は、ぽんぽん背中を叩いてくるみるくの胸にもたれて、ぽつりと、呟いた。
「前は僕が貴方をあやしていたのに、みるく……?」
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