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21-銀の飼育日記⑦
「ままーこれおいしい」
最近、みるくの食欲が一段と増した。
甘いものから辛いもの、とにかく何でも食べる食べる。
「お口が汚れています、みるく」
「むぐー」
ナプキンで口の端を拭ってやればその指先を戯れにはむはむしてくるみるく。
無邪気な仕草を目の当たりにし、銀はもっといろんなものを彼に食べさせてあげたいと思うのだ。
みるくがもっと美味しいと思えるものを見つけてあげたい。
よって銀は久し振りに破壊目的とは別の目的を持って地上へ出た。
地上を訪れるのがちびの頃以来のみるくは慣れない雑踏の喧騒に興奮状態になるでもなく、いつもと変わらず銀に甘えてくる。
「ままとでーと、やばたん、まじ卍」
また余計な言葉を教えて、あの暇人グラマラス、と肩を竦めつつ、銀はみるくの好きなように甘えさせてやった。
ちなみにみるくはすでに漆黒の翼を貝殻骨として背中に仕舞う術を習得していた。
普段と同じ黒白ボーダーの囚人服じみたツナギを着、ファッション雑誌の表紙を飾ってもおかしくないレベルの長身イケメンは、かなり街中で目立っている。
……そりゃあ、目立つだろう、リアル猫耳がついているのだから。
「あれ本物みたい」
「ちょっと動いてない?」
本物だから当然動く、別に不思議なこたぁないです、と銀は心の中で返事をする。
ちなみに銀はマッドネスのDr.銀とばれないよう変装していた。
どこかの絶倫遅漏バカという名の地味マッドサイエンティストは変装もしないでその辺を平然と歩いているようですが、僕ぁ、アレと違って少々顔が知れているのです。
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