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「アマラントス、それは常世の花、永遠に枯れず、色褪せない花を指す」
男は優雅に笑いながら長い足を悠然と組む。
「まさかこの世界で彼と会えるなんて、まるで誰かが見た夢の中を散歩しているみたいだ」
ねぇ、アマラントス?
銀の膝枕で眠るみるくはもちろん答えない。
すやすや安らかな寝息を返すばかり。
男はそんな我が子に優雅な微笑を深める。
「奇跡にも等しい我が子との出会いを導いてくれて感謝するよ、しろがね?」
勝手にあだ名をつけないでください。
僕ぁ、銀です。
貴男にこの子を託しましょう、イヴレス。
「えーーーーーー!!??」
「……耳障りです、グラマラス、ワイングラスでも割るつもりですかね」
「みるく、のパパってことは、その、魔界の住人、が、地上にいたの?」
「ええ」
「それ、で、みるくを、あのスーパーイケメン、な、王子様、パパに託しちゃったの?」
「ええ」
シーラカンスとマンボウが悠々と泳ぐ巨大水槽が特徴的なグラマラス・ラボ。
青々とした幻想的な光に包まれたフロア、テーブルセットに着席した銀は着膨れした変装衣装のまま、窮屈そうに豆乳ココアを頂戴していた。
向かい側に座ったミニスカナース+ピンヒール+ゴージャスメークという相変わらずな姿のグラマラスは開いた口が塞がらないという状態だった。
「あんたなにやってんの?」
「こどもは親元にいるのが普通でしょう」
「なに、至極真っ当な正論言っちゃってんのよ」
チョコレートのついたポッキーで豆乳ココアを混ぜながら、疑問だらけのグラマラスは銀に問いかけた。
「でも、みるくって、ドラゴンなんでしょ?」
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