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「ええ、まぁ」 「じゃあパパもドラゴンなの?」 「恐らく。形態変化をコントールできるのでしょうねぇ」 「どうやってこの人間界に来たわけ? まさか召還?」 「そうですねぇ、超上級クラスの魔物でしょうから、もしかすると移動が自由自在なのかも」 「やだぁ、じゃあ地上って実はそんな奴がウヨウヨいるわけ?」 「どうでしょうねぇ、貴女もなかなかの珍種ですけど」 「それじゃあママもいたの?」 「…………」 そこは高層ビルのペントハウスだった。 日差しがいっぱいに降り注ぐテラスからの眺望はまさに絶景、延々と連なるビル群を見渡すことができた。 ところどころ歪に欠けているのは「マッドネス」襲撃の跡だろう。 みるくの父、イヴレスはそこに一人で住んでいた。 月光の似合いそうな粛々たる雰囲気を漂わせる外見でありながら。 時に人懐っこい笑みで空気を和らげる。 「やはり同じ血を分かつもの。母なる胎内に宿ったその命の匂いを感じ取って以来の逢瀬だけれども」 こうして出逢えば自ずと〈はらから〉だとわかるものだね。 イヴレスは嬉しそうに微笑み、抜群に寝心地のいいソファに寝転がっていたみるくの頭を撫でた。 みるくはそんな父を綺麗に無視している。 端に座る銀に相変わらず甘えていた。 「ままーうみゃ」 大昔苦学生風スタイルである銀の片手にじゃれつくみるくをイヴレスは優しい眼差しでありながらも「…………」と何か言いたげに見下ろしていた。 そうしてみるくが銀の膝で寝始めると本当の母について語り始めたのだ。 「アマラントスの母とは一夜限りの関係というやつでね」 「は?」 「その一夜にして、まぁ、彼女は身ごもったわけでね」 「……はぁ」 「私は魔界と人間界、他にも様々な異界を行き来していて、まぁ、そういうことは多々あったのだがね」 「…………」 「こうして愛の結晶と対面したのは初めてで、本当、感激していてね」 なんでしょうね、この方、えろおやじなんでしょうかね。 「えろおやじ、とは、的を射ているかもしれないね」

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