まずヒロインより先にみるくを見つけ出すことが先決だった。 しかしヒロインは空を飛ぶ、怪力を持つ、ビル壁をも頭突きでぶっ壊す。 超人少女を凌ぐことはなかなか難しい。 何せ彼女は森羅万象の力を秘めているのだから。 「マッドネスとして向かったら足止め食らっちゃうわ」 よって銀は着膨れ変装衣装のまま、グラマラスもまた変装し、普段乗り物として使用している愛玩ペット達はラボに残し、さぁ、いざ地上へ。 カスタマイズ満載の違法改造バイクで爆音を鳴らしながら秘密の抜け穴をドルルルルルっと駆け抜けた。 「……これ、目立ちませんかねぇ」 「市民の皆さん、警察の皆さん、みるくに釘付けで見やしないわよ」 全身ライダースーツでメットをかぶったグラマラスは正しく風を切って疾走した。 あっという間に騒ぎの中心地へ到着する。 交通麻痺真っ只中、人や車でごった返す街中で華麗なドリフトを決めまくりのグラマラスにしがみつき、襟巻を靡かせ、銀は上空を仰ぐ。 報道ヘリが騒がしげに飛び回り、サーチライトが夜空を行ったり来たり。 救急車やパトカーによって奏でられるサイレンの輪唱。 普段のマッドネス襲撃より、ものものしい空気に満ちているような。 みるく、貴方、どこにいるんですか。 勝手なことをしてごめんなさい。 自分勝手な僕のことを許してくれますか。 また笑いかけてくれますか？