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23-似非シンデレラの弟なんです/パラレル番外編

「私、舞踏会行きたくない」 灰かぶり姫こと空の空気読めない発言に魔法使いこと白衣のマッドサイエンティスト、クロは思いっきり眉根を寄せた。 「お前……この期に及んで何を言い出しやがる」 「行きたくない! 行きたくない!」 継ぎ接ぎドレスを着せて適当メイクを施してやり、不気味なスケルトン馬車まで用意してやったクロに空は言い放つのだ。 「なんかめんどくさい!!」 「この怠け者」 屋敷の住人はすでに王子の花嫁探しのため城で開かれる舞踏会へ向かっていた。 掃除をさぼり飯だけは一人前、いや、十人前は食らうこの元は悪くない少女をとっとと王子に見初めてもらおうと、クロは計画していた。 何のために? それは――。 「そうだ、海、代わりに行ってきて!!」 薄暗い屋根裏部屋、隅のベッドでネズミにチーズをやっていた空と双子の弟、海は、びっくりした。 クロも驚いた。 邪魔な空を追い払い、優しい愛らしい海とこの屋根裏部屋で二人っきりでいちゃつきたかったというのに、それでは意味がない。 「お前が舞踏会に行ってみたいと言うから準備してやったんだぞ」 「おいしいもの、いっぱい食べられるかなぁって、そう思ったの。でもドレスがこんなにきついものだなんて思わなかったの」 「食い意地だけは張りやがって」 「ねぇ、海、おいしい食事タッパーに詰めて持って帰ってきてくれる?」 「黙れ。もういい、この大食漢。ネズミと一緒にチーズでも食ってろ」 「むっつり眼鏡!!」 「あ、あの……喧嘩しないで」 僕、行ってきます。 かくして空の食い意地を満たしてやるために心優しい海は舞踏会へ出かけることに。 クロは繊細な刺繍美しいドレスをどこからか用意し、海に着せると、メイク道具をずらりと並べてブラシやらパフでぽんぽんナチュラルに瑞々しい素肌を彩っていった。 「……あの、変装するなら給仕でもよかったんじゃ」 「お前は背が低すぎる、こっちのほうが溶け込みやすい」 クロは海を可愛らしい姫君に仕立て上げた。 「自分色に染めたい」的願望が満たされてクロは満足するものの、少し、不安もあった。 こんなに可愛いと悪い虫が寄って集ってくるかもしれない。

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