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24-銀のドラゴン飼育日誌/パラレル番外編
銀が勤務する魔界生物研究所では一つのプロジェクトが進められていた。
ドラゴンの人工飼育だ。
魔界から卵を採取し、孵化させ、生態を解明しつつ育て、最終的にはつがいにして新しい命を誕生させるというのが目的だった。
命からがら実行部隊が採取してきた第一の卵から孵ったドラゴンはオスだった。
漆黒の小さな翼を生やした黒竜。
プロジェクトチームのリーダーである銀に赤ちゃんドラゴンはよく懐いた。
「くるるるる」
「いやん、かわいい、甘えてるわ」
通称〈揺り篭〉と呼ばれる眩いまでに真っ白な部屋、その色に溶け込むような白衣を纏った研究員達。
ミニスカで白網ストッキングにヒールが険しい白パンプスを履くグラマラスは、翼を丸めて大人しくしている赤ちゃんドラゴンを寄越せと銀にせがむ。
腕の中で赤ちゃんドラゴンをあやしながら銀は足蹴に断る。
「ばっちいです、雑菌が伝染ります、生理的にお断りします」
不可思議な大きな目をぱちぱち瞬きさせる赤ちゃんドラゴン。
彼は人にメタモルフォーゼする珍重種であった。
「うみゃ、まま」
瞬きより短い速度で、銀の腕の中で、猫耳を生やした幼児に変わる。
「ままー」
「はいはい、僕ぁままですよ」
研究対象-Dと呼ばなければならない赤ちゃんドラゴンに銀は密かに名前をつけた。
「みるく、いい子ですね、なんて美しいんでしょう」
みるくはどんどん成長した。
知能指数が低いのか、言葉をなかなか習得しないものの、理解はしているようで、感情に富んでいた。
「まま! まま!」
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