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26-銀の飼育日記⑩

「超上級妖魔、その上心も読める、尚且つイケメン」 「はぁ」 「さすがのマッドネスでも簡単に太刀打ちできる相手じゃないわ」 「荒くれお姫様に退治してもらいましょうか」 「それだと破壊どころじゃない、壊滅になるかも」 いっそのこと潔く嫁になったら? 「……ぶっ飛ばして差し上げましょうか、グラマラス」 午後のカフェテラスにて。 テーブルで一人優雅にお茶を飲むイヴレスから少し離れて背を向け、街路樹の下で向かい合った銀とグラマラス。 「パパの嫁になればみるくとずっと一緒にいられるじゃない?」 「だからってイヴレスの嫁になるのは御免被ります」 シルクのショールに包まれたみるくはくぅくぅ眠っていた。 銀がそっと抱き直すと、猫耳をぱたぱたさせ「んにゃ……」と睦言を洩らす。 傍らを通り過ぎていく通行人は「なにあれかわいい」と言わんばかりに微笑ましげに表情を和ませていた。 「とりあえず彼奴の懐で様子を見ようと思います」 銀の答えにグラマラスは頷いた。 「まぁ、何かあったら、今度はみるく王子様が守ってくれるわよ」 ぶっちゃけると、みるくにはもう何度もこの体を守ってもらいました。 陸生鮫に屠られそうになったとき。 傷口が疼いて魘されていたとき。 「自分の身は自分で守らなければ、いけませんよねぇ」 「ままーじゃぶじゃぶー」 「はいはい、じゃぶじゃぶしますかねぇ」 銀はシャワーの温度をちゃんと確かめてから泡塗れのみるくにかけた。 「ちゃんと目は瞑っていてくださいねぇ、みるく」 「うみゃ!」 そこは広々としたバスルーム。 タイルも浴槽も黒、まるでホテルの浴室さながらにシックでモダンな落ち着きある空間。 銀はみるくと入浴中だった。 控え目な照明の下、正確に言えばもこもこぶくぶくな泡風呂中だった。

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