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27-海とクロの共鳴

今日は海と空が通う学校で遠足行事がある日。 快晴の元、大型バスで郊外まで向かい、途中からお行儀よく列をなして山道を進み目的地を目指す。 「天気のいい日に外で食べるお弁当っておいしいよね!」 「うん、そうだね、空姉ちゃん」 母親が徹夜して作ってくれた美味おかず満載の五段重ねお弁当、昨日しこたま買い込んだおやつでぱんっぱんに膨らんだリュックサックを軽々と背負う双子の姉に海は笑いかけた。 海の荷物は普通サイズのお弁当と好きなお菓子が入った斜め掛けのショルダーバッグ、そして、腕の中でぷぅぷぅ寝ているおたま。 運動は苦手な海だが遠足はやっぱり別物、わけもなく心が弾む。 それに山道に咲き連なる花はどれも可愛らしくて、つい足を止めそうになる。 「海、早く! お弁当タイムが遅くなる!」 空に急かされてなかなかじっくり眺めることはできなかったが。 「集合時間に遅れては駄目ですよー! 単独行動は慎むこと! 山の中に入ってはいけませんからねー!!」 そして無事目的地に到着。 鬱蒼たる雑木林に囲まれただだっ広い運動公園。 先生達が大声で伝えている注意を聞き流し、生徒達は友達同士で集まって思い思いの場所でカラフルなレジャーシートを広げてお弁当を食べ始める。 海は空や他の友達と一緒に木陰でお弁当タイムに。 すると。 「ぷぎゃ」 寝ていたはずのおたまが急にそわそわし始めた。 お弁当を必死こいてがっついている隣の空は全く気づいていない。 周囲の友達もおしゃべりに夢中でヌイグルミであるはずのおたまが微妙に動いていることを気にも止めていない。 一人、海だけがこっそり焦る。 どうしたの、おたま? いつもみたいにじっとしてないと駄目だよ? しかし海の焦りを余所におたまは。 海の懐からぽーんと勢いよく飛び出してしまったではないか。

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