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第二夜
当時、田舎の領主の屋敷で執事をしていたレイは、家人と共謀し、暗殺を企てた罪で裁かれた。
主人に毒を盛ったという身に覚えのない罪で。
与えられた罰は死よりも重いものだった。
――一生誰もたらしこめないよう、醜い姿で生きながらえ、孤独にのたうち回れ。
呪いの痣が全身に広がったときが地獄に落ちるときだ。
かくして美男子ともてはやされた美貌は、見るに堪えないおぞましい姿へ。
たくさんの者から慕われていた日常は、孤独な人生へと塗りかえられた。
憎々しげに吐き捨てられた主の言葉が、今も脳裏に焼きついている。
誠心誠意仕えて生涯を終えるつもりだった。
それがどうしてこうなったのだろうと今更考えても詮ないこと。
彼らの生きた時代は終わり、レイだけが今も取り残されている。
「月が明るいと感傷的になっていけない」
カーテンに手を伸ばしたとき、寝室の扉をノックする音が響いた。
「レイ、入っていい……?」
熱を含んだ甘い声にドキリとする。
歓迎すべきではないが、返事をしなければ、声の主が一晩中部屋の前できゅんきゅん鳴き続けることは目に見えている。
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