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第三夜

 レイは仕方なくドアノブを回した。 開いた扉の隙間から大きな体が飛び込んでくる。 「レイ!」  声の主は抱きついたまま焦れたようにレイの名前を繰り返し、髪に、頬に、肩に、ぐりぐりとおでこを押し付けてきた。 その頭には大きな耳が生え、尻からは立派な尾がはみ出し、バッサバッサと大げさに揺れて風圧が起こる。 いつもは青い瞳がルビーのように赤く変化し、興奮状態なのがバレバレだ。 「落ち着けジャック」 「むりだよ。レイいい匂い。くっついていい?」 「もうくっついてるだろ」 「違うよ。一晩中くっついて一緒に眠っていい?」 「おとなしく寝るならいい」 「ううぅ……」  どうやら自信がないらしい。 ぺったりと耳を垂れ、ジャックが葛藤している。 その間に大きな体を突き放し、ベッドへと移動した。 しょぼんと入口で立ち尽くすジャックに、あきれを通り越して愛おしさが湧きあがる。 「まったくでかい図体のわりに中身はてんで子供だな。ほら来い」  毛布をはぐって空いたスペースをトントン叩くと、ジャックが瞳を輝かせてベッドにダイブした。 「レイ大好き!」  腕の中に捉えられ、また頬ずりをされる。

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