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第十夜

 チビ狼のかくれんぼはしばらく続いた。 姿を見せない子供の気配を追うことがレイの日課になり、「あの子は今日は何をしているだろう」と無意識に考える癖がついた。  時にはくつろいでいるところを邪魔してしまい、ピンと尻尾を立てて威嚇されたり、ひなたぼっこ中の愛くるしい姿に誘われ、ふわふわの耳に手を伸ばして噛みつかれたり。  そんな生活を続けるうちに、物陰からじっと観察されることが増えた。 目が合うと飛び上がって驚くので、なるべく視界に入れないよう注意したら、一日中見張られるはめになった。  レイが珍しく椅子に腰かけたままうたた寝をした日のことだ。 ふと膝の上にぬくもりを感じて目を開けると、そこにはふくふくとした柔らかな頬が、無防備に押し当てられていた。 「ん……」  小さく身じろいだ子供の口から、安らかな寝息がこぼれ落ちる。 レイは信じられない光景に目を見開いたまま固まった。

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