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第十五夜

「ん……レイ、大好き」  鼻の頭をスリスリ擦りつけながらジャックが甘えてくる。  ここ数年の恒例行事になっていたが、二人そろってハロウィン祭に出かけるのは今年で最後になるだろう。 決断を引き延ばしている罪悪感に、もう耐え切れなくなっていた。     * * * 「わあ~! ランタンの灯りも街の飾りも全部キレイだ!」  ジャックがはしゃぎながら街中を熱心に見て回る。 約束通り、ハロウィン祭に今年も二人ででかけていた。 広場からにぎやかな笑い声と音楽が聴こえ、道なりにカボチャやコウモリの装飾が並んでいる。  ふいに後ろから「ジャック?」と声をかけられた。 振り返ると、三角帽を被ったブルネットの髪の少女がほほ笑んでいる。 「エマ! こんばんは」 「こんばんは。ジャックの仮装とってもすてきね」  親しげにあいさつを交わす二人の姿に、レイの胸が鈍く軋んだ。 彼女だ。ジャックが街へ降りるたびに、必ず会っているのは。

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