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第十七夜
ハロウィンの今夜は、松明の炎があちこちで揺れている。
惨事を招く前にやめさせなければと一歩踏み出したそのとき、興奮した男が大きなランタンを抱え上げ、広場の中央へと放り投げた。
反射的にレイは地面を蹴る。
ランタンが大きな松明の足を破壊してぐらりと傾いた。
後ろに並んでいる別の松明を巻き込んだ先に、ジャックとエマがいる。
背を向けた二人が異変に気づいて顔を上げた。
ドミノ倒しになった炎の間に、レイが勢いよく滑り込む。
二人は衝撃を受けて突き飛ばされた。
燃え盛る炎はレイの上に覆いかぶさり、こぼれた火が祭りの装飾に引火して広がってゆく。
「レイっ!」
焦って駆け寄ろうとしたジャックをレイが制した。
「来るな!」
本能を無視して火に立ち向かおうとするなんて、バカな獣だ。
崩れた松明の下敷きになったレイに、油を吸った布が張りついて、服も髪も焼き焦がしていく。
けれど、どうせ死ねない。
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