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第十八夜
往生際悪くレイを見守るジャックに、「その子を連れて逃げろ」と合図する。
火だるまになったレイに近づくことなと到底できない。
炎は広場を火の海へと変え、このままでは命すら危うい状況だ。
逃げ惑う人々の声を聞きながら、ジャックは歯をくいしばり、エマを抱き抱えて後ずさった。
ほっとした瞬間、呪いの痣が表皮から黒煙を吐き出すように蠢いた。
全身から真っ黒なもやが吹き出し、レイを包む炎をはらはらと灰に変えていく。
まるでレイを仕留めるのは自分だと言わんばかりに、危険因子を排除し、飼い殺してじわじわと命を吸い取る――これはそういう呪いなのだ。
あれだけ猛威を奮っていた炎の波は、レイの周囲から伝染するように凪ぎ、広場全体をゆるやかに灰で埋め尽くした。
街の人々が呆然とレイを見ている。
すすけた体にボロボロの服がひっかかり、むき出しになった肌の上で、今も黒煙がゆらゆらと揺らめいていた。
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