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第二十夜

 一夜が明け、一人きりの家で目を覚ましたレイは、全身の痛みに眉をしかめた。 命に別状はないが、直接炎を受け止めたために、火傷で体中がただれている。 石をぶつけられた傷や打ち身まで加わり、なかなかにひどい状態だ。 けれどなによりも胸の痛みが大きい。 (まったく未練たらしい……)  起き上がってハサミを握ったレイは、焦げた髪の先を切り落としていく。 幼いジャックがきれいだねと繰り返すものだから、仕方なく伸ばしていた髪だった。 「レイっ!」  突然扉が開かれ、ジャックが家の中に駆けこんできた。 目を見張るレイに大股で詰め寄り、強引に体中を検分する。 「レイ、けがは? ああ、キレイな髪が……! レイが心配で一晩中眠れなかった。包帯が増えてるし、体中真っ赤だ。これじゃつらいでしょ」 「ジャック、どうして戻ってきた! ここにいたらまたバケモノの仲間だと誤解されるぞ」  せっかく人間に戻れたというのに、こんなところまでやってきてレイの身を案じているなんて、バカで愛おしくてどうしようもない。

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