もう少しだけ一緒にいたくて、俺の部屋に招こうと思ったら、青が「うちにおいでよ」って言った。 「ん……青」 　俺の部屋だと、あれが、ないから。 「みつ」 　ゴムもローションも、ないから。青の部屋なら、あるから。 「んあっ！」 　首筋を吸われて、なんか、背中が弓なりにしなった。ただ、首筋にキスマークつけられただけなのに、もう、一回青としちゃって、エッチが気持ちイイってわかってるからかもしれない。身体が最初から躊躇うことなく、青のくれるもの全部に悦んでる感じがした。 　浮き上がった背中とベッドの隙間に差し込まれた青の手が、そのまま俺のズボンと下着に指を引っ掛け、下へとぐっと引き下ろす。腰まで下げられた時、尾てい骨を指先でカリカリされて、くすぐったくて、甘ったるい変な声が溢れた。 「あ、お」 「？」 　青が俺を脱がしてくれたから、俺は青を脱がそうと、上体を起こして、青の着ていたＴシャツに触れた。中に手を入れて、そのまま、お腹のところを撫でて。 「みつ？　な、何？」 　やっぱ、なんかズルい。 　なんだよ。この腹筋。すこしゴツゴツしてて、でも、肌が優しい青にそっくりな質感。柔らかくて、優しくて、指先に吸い付くような感じ。だから、指で掌で青を確かめながら、服を脱がしていく。肌が見えれば見えるほど、俺のドキドキが大きくなる。 「青」 　中原さんとの一対一対決で頬を擦りむいてしまって、今も、ほんのり赤くなってる。争いごとが嫌いなくせに、率先して年上の、しかもあんなに強そうな中原さんに噛み付いたりしてさ。 「痛いか？」 「いいんだ」 「え？」 「大好きな人を譲りたくなくて戦った、俺にとっては勲章みたいな傷だから」 　何、厨ニみたいなことを言ってんだよ。 「……み」 　真っ赤になってしまった頬にキスをひとつした。そっと、痛くないようにそっと。 「キスで治ればいいのに。そしたら、俺、青とキスするの好きだから、いつ青が転んでも、その言い訳くっつけてキス」 「……」 「できるなぁ、なんて、思ったりして」 　でも俺に関することにだけ、大バカになる青がたまらなく愛しくて、俺も、厨ニっていうか、どっちかっていうと夢見る乙女みたいだけど、そんなことを呟いてて、恥ずかしいから青に抱きついてごまかしていた。 　青の指が中を掻き混ぜる度にローションの音がする。 「んんんんっ」 　最初から戸惑うことなく、気持ちイイって感じてるから？　それとも、おばさんたちが同じ屋根の下にいて、声、出せなくて、青の枕に顔を埋めてるから？ 「みつ、なんか、前よりも気持ち良さそう」 　青の匂いに包まれながら、指でほぐされてたら、ものすごく気持ち良くておかしくなっちゃいそうなほどだった。四つん這いで、青へとお尻向けて、そんな孔のとこを思いっきり晒してるのに、恥ずかしいよりも気持ちイイが勝ってしまって、どうしよう。 「みつ、腰が揺れてる」 「んんんっ」 「ここ、好き？」 　そんなのわかんないよ。だって、青のくれるものは全部気持ちイイんだから。口を開けたら、言葉よりも先に甘ったるい喘ぎ声をあげてしまいそう。だから、答えられず、どうしようって思いながら青の枕に頭を預けたまま視線だけを背後にいる青に向けた。でも、この体勢だと、青の匂いがして、なんか、すごくドキドキする。 「……ん、ンっ！」 　青の指が気持ちイイのはもう知ってる。その指が身体の中から抜けてしまって、すごく、胸が高鳴った。だって、もう次の「気持ちイイ」を知ってるから。 「みつ、痛かったら、言ってね」 「ン、ん、んんっ、ん……」 　青と繋がるのは、青の存在感を身体の内側で感じることは、すごく、気持ちイイって、もうわかってる。 「んっ！」 　ローションを追加されて、青の痛そうなくらいパンパンに張り詰めたそこにも垂らされて、念入りに濡らされた場所にドキドキする。そことここが今から混ざり合うんだ、なんて想像して。 「みつ……っ」 「んっ」 　ちゅ、って音がした。まるでキスみたいな音。 「んんんんっ！」 　そして、そのすぐ後にググって押し込まれる、ものすごい熱の塊。びしょ濡れだから、孔んとこを難なく抉じ開けて、そのまま、青が俺の中に一気に奥まで来てくれた。 「み、つ」 　奥深くまで、ぐっと押し込まれて、枕に熱い溜め息を吐く。ずずって、抜かれていくと、なんか胸が切なくなって、鼻にかかった甘えた声を枕に染み込ませた。青が動く度にベッドが少しだけギシギシ音をさせて、その音がする度にもっともっと気持ち良くなっていく。 「あ、んんんんっ、ンっ……んん」 　深いとこ、奥に青がいる。すごく硬くて、熱いそれに、内側がトロトロ蕩けていく。くちゅ、ぬちゅって、やらしい音が小さく控えめに部屋の中に響いてる。 　俺の中が、青でいっぱいだ。 「みつ？　痛かった？　今、締まった」 「ちがっ、あぁぁんっ、ん、ンんっ！」 　痛くて、きゅっとしたんだと青が勘違いして腰を引こうとするから、またきゅっと締め付けながら、枕から顔を上げたら、すごく甘ったるい声が溢れた。やらしい感じの甘い声。びっくりして、慌てて枕にもう一回顔を埋める。 「みつ」 「ん、ひゃああ！　ぁ、な……んで？」 　肩のところをカリッて齧られて、思わず甘い悲鳴を上げてしまった。痛気持ちイイ、ちょっと危ない刺激に枕に顔を埋めるのを忘れて背中を反らせてしまう。だって、肩を齧られたと同時に、青が俺の中から抜けていってしまったから。 　振り返って、思わず訊いちゃうくらい、青と繋がることが嬉しいから、まだ……したいのに。 「音、あれだから、こっち、来て」 「……ぇ？」 　ベッドから降りた青がフローリングの上にあぐらで座って、俺に手を差し伸べてる。 「床じゃ、背中痛くするから、俺の上に、座って？」 「！」 　つまりは跨って座って、つ、続きを、する、とか？ 　ドキドキした。戸惑うけど、でも青と手を繋いだら、その指先の力強さに引き寄せられて、青のチョコレート色の瞳に見つめられた。跨って、たどたどしいけど、青の手に手伝ってもらいながら、腰を落としていく。 「ん、青っ、これ、声っ」 「うん、だから、みつ」 「んふっ……ンんんんっ、ぁ……ふぁっ」 　さっきまで繋がってた身体がまた、今度はその繋がりを自分から深くしていく。濡れた音をまといながら、太くて硬い青を自分の中に押し込んで、青の舌に声を止めてもらって。 「んんんんっ」 　キスしながら、ぎゅっと抱きついて、繋がった。 「みつ、すご、気持ちイイ」 「ん、あっ、青、キス、し、てっ」 「ん」 　じゃないと声が漏れちゃうから。全身で繋がってて、どうしよう、これ、すごく気持ち良くて、青がすごく近くに感じられて、溶けそう。キスで、身体の奥で青のことを感じる。 「青っ」 　セックス、してる。 「みつ、好き、だよ」 　突き上げられながら、俺も青に深いとこへ来て欲しくて、ここに来て欲しいって腰を揺らめかせて。 「ん、んんっ、青」 「み、つ」 　身震いするほど気持ちイイ。 「あお、好、き」 　青が好きでたまらない。いくらでもキスしたくていくらでも繋がりたくて、だから、せめて、この気持ちの欠片でも伝わればいいのにって思いながら、赤く擦り剥けた頬にもう一度キスをした。 　治りますようにって。 　そして、俺と同じくらい、青も気持ち良くて、嬉しくて、もっとしたくなりますようにって、願いながら、頬に唇で触れるだけのキスをした。 「みつ」 　青の声ですら、こんなに気持ちイイんだよって、繋がった場所から青に伝わりますようにって。