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第61話 年下の彼

「初めて、するから、きっと、あんま気持ち良くないよ」  そう言って、先端にキスをした。ドキドキしたけど、でも、口に含んだ瞬間、青が息をつまらせるのがわかって、なんか、嬉しかった。そして、嬉しくなったら、俺も気持ちよかった。  キスと一緒だ。青の身体に唇で触れると、キスしてる時みたいにお腹の底が熱くなる。青を気持ちよくしてあげてるはずなのに、俺が蕩けてしまいそうになる。今、そんな感じ。 「みっ、……っ」 「ン」  ベッドに座った青の脚の間に俺が座って、口でしてる。青の声が気持ち良さそうで、その声をもっと聞きたくて、ちょっと大胆になってしまう。アイスみたいに舐めてみたり、とか、唇できつく締め付ける、とか、あと――。 「ちょっ! み、みつっ!」 「んんっ!」  肩をぐいって押されて、止められてしまった。 「青? 下手、だった?」 「ちが……」  いきなり引き離されてびっくりしている俺の口元を指先で拭ってくれる。フェラ、して、濡れた唇をそのまま指でなぞられて、背中がゾクゾクした。青が自分自身の指先をじっと見つめる視線にすら、身体の奥がきゅんってきつく何かを堪える。 「そ、じゃなくて」  俺の両肩をぎゅっと手で掴みながら、青が全力疾走でもしたみたいに息を切らしてた。顔、真っ赤だ。エアコン入れてるけど、のぼせた? 息、すごい荒いし。 「イ、っちゃうとこだったじゃん」 「いいのに」 「あのね!」 「いいよ。青のこと、好きだから、何しても、何されても、いいよ」 「っ!」 「青?」  今度は腹痛? 背中を丸めて、乱れていた呼吸をぎゅっと止めて。 「もおおお、っぉぉぉっ!」  いきなり叫んだかと思ったら、お母さんたちがいることを思い出して、声のボリュームを落として、顔芸みたいに表情で気持ちを全力で表してた。  イっていいよ。青に気持ち良くなってもらいたくて、フェラ、したんだから。 「青、続きは、っン……ん」  唇に噛みつかれて、そのままベッドから降りた青が俺に覆い被さる。薄暗い部屋でもわかる、カッコいい輪郭を掌でなぞって、少し首を伸ばしてキスをした。舌を絡めて、フェラの続きをキスで青とした。唇に歯を立てて、舌同士で突付き合って、唾液が唇の端から零れ伝う、やらしくてドキドキするキス。 「ん、ンンっ、ぁおっ……ン、ふ」  ゴムをパッケージから開ける音がした。だから、手を伸ばして、青の手を捕まえて、そのまま着けるのを俺も手伝ったんだ。 「みつ……」 「青、もぉ、俺」  またキスをした。きっと、青が俺の中に来たら、声が出るから、挿入の瞬間、深い口付けで声を塞いで、でも、呼吸は青と一緒に息継ぎみたいに、一緒にしてって、頼んだ。 「あっ、んんんんっ」  切っ先が、孔の口に触れる。そして、そのまま、ローションのぬめりをまとって、中へ一気に来てくれた。 「はぁぁっ! ぁ、青っ」  硬くて、太くて、熱い青が俺の中へ、もっと奥へと、内側を掻き分けるようにしながら、グググッて来てくれる。 「はぁっ! ン、ぁ、青、の」 「みつ、痛くない?」  どうしよう。孔の口が、中が、奥まで全部、きゅんきゅんして、青のに吸い付いてるみたいだ。 「ん、気持、ち、イイ」  ものすごい存在感。俺の中全部が青で埋まっていく感じ。息をするのも大変なくらい、全身を刺し貫かれて、眩暈がするくらい気持ちイイ。青がいっぱい、ここにいる。そう思いながら、お腹のとこを掌で撫でた。その瞬間、グンって奥に突き立てられて声が零れてしまった。 「ちょ、みつ、そんな顔しな、でよ」  知らない。でも、急にする時はちゃんとキスしてくれないと困る。 「も、青、声出るって」 「ごめっ」  どんな顔をしてたんだろう。嬉しそうだった? 気持ち良さそうだった? どっちもだよ。嬉しくて、気持ち良くて、幸せな顔をしてた? 「みつ!」 「ん、あぁっ、青、奥、そんな、来ちゃっ」  腰を引かれたら、ずちゅ、ってやらしい音がした。もっと奥にって誘うように、中が青に吸い付こうとする、引かれる度に腰が跳ねて、また戻ってきてくれると中が青の熱さに喜んで、脚は自然と青が来やすいようにと大胆に開いて。  声、やっぱり出ちゃうよ。  何をしても気持ちイイんだ。声も、青を受け入れたがる身体も、全然止まらない。 「ダメだよ、噛んじゃ」 「ん、ンっ、んんっ」  腰を打ち付けて、俺の奥に何度も切っ先を押しこみながら青が口を塞いでくれた。腕で押し潰すみたいに口元を押さえていた、俺の手を自分の首にしがみつかせて、抱きついててって、言いながら、キスをしてくれる。  舌で口の中を、青の熱の塊で俺の中を、どっちも大胆に独り占めしてくれる。本当に蕩けてしまいそう。 「ぁ、ぉ……」 「なんか、今日のみつ、ヤバい」 「?」  青に突き上げられる度にずり上がってしまいそうになるから、腕で首に強くしがみついた。密着する身体の間で、俺のが青のお腹に擦られて、トロトロした蜜をそこら辺に塗りたくってる。 「なんか、色気ありすぎて、俺、止まらなくなりそう」  俺も止められなくないくらいに気持ちイイよ。 「も、十八、だから、じゃない?」  少し大人っぽくなったのかもよ? 青のことを好きになって、両想いになってくれた青をもっとこうして抱き締めて、離さず一緒にいられるようになりたいから。 「青」 「?」 「好き、だよ?」  頬にキスをして、真っ直ぐに見上げた。大好きなチョコレート色の瞳も真っ直ぐ俺を見つめてた。 「みつ」  まだ、十八じゃないくせに、俺より、四か月分年下のくせに、心臓が止まりそうなほど、伏せた瞳が色っぽいなんて、なんか、ズルい。 「あっ! あぁああァっ! あ、ンっ」 「みつっ」 「ン、んんっ、ン、ふっ」  青、来年も一緒に誕生日を祝おう。十九になった俺はきっと、もっと上手に青のことを気持ちよくさせてあげられると思うんだ。だから、ずっとずっと、一緒に。 「俺も、みつのこと、すごく、すごく、好きだよ」  丁寧なキスがひとつ唇に。そして、その唇で、腕にしがみつく俺の手を取った。手を繋いで、シルバーの指輪にもキスをしてくれた。  その瞬間、指輪がさっきよりも光り輝いて、薄暗い部屋の中でキラキラして見えた。

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