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第81話 気持ちイイよ。

 青って、どっちかっていうと可愛いキャラだ。のほほんとしていて、「いいよぉ」って言いながらいっつも笑顔で、甘いお菓子みたいな男子高校生。女子にとっては話しかけやすいキャラクターで、イケメン――そんな感じが皆の知ってる青。 「あ、あぁっ……青っ」  自分のニットの裾をぎゅっと力を込めて握った。じゃないと自分の爪で自分の掌に傷を作ってしまいそうだったから。そんな俺のことをチラッと見て、チョコ色の瞳を細めて、白い歯が、持ち上げた俺の太腿を齧った。 「んあっ、あっ! 声、出ちゃうって、ん、ンンンっ」  青が歯を食い込ませながら、ニットの裾を握った拳で唇を押し付けて声を耐える俺を見つめてた。見つめながら、ちゅ、って音を立てて、柔らかい……と思う太腿に吸い付かれて、ビクンって身体がしなりそうになるけど、動けない。青の指に身体の中心を、一番深いところを占領されてるから。 「あ、やだ、青っ、それっ……」 「全部、気持ちイイ?」  気持ち、イイよ。見ればわかるでしょ? こんなに先走り垂れ流して、甘く喘いでるんだから。 「ン、んんっ」  指が俺の中を広げて、擦って、舐めるようにゆっくり、じっくり慣らしてく。青の大きさに、青の太さに、俺の中が痛みを感じたりってしないように。 「ンンっ、ン……ん」  青がそうやってほぐす度に欲しくなる。青の指が俺の中を広げる度に、それだけの質量のある青がこれから来るんだって思うとたまらなくなる。 「みつ、そんな可愛いことしないで」  してないよ。 「可愛すぎ……」  そう溜め息混じりに言われても仕方ない。口元を押し潰すみたいに押さえてないと声出ちゃうんだ。  そんなことを言うなら、青はカッコよすぎで怒りたいくらいなのに。  皆の知らない青。俺とこういうことしてる時、ゾクゾクするくらい男っぽい表情をする。いつもは可愛いくせに、甘いお菓子みたいな幼馴染のくせに。 「やぁっ……ン」  柔らかく微笑むときに、ふにゃんと下がり気味になる眉と眉の間に皺を刻んだ感じとか。 「みつ……」  熱っぽく俺の名前を呼ぶ時の声のかすれ方とか。それと、あと、この裸になるとクッキング部だったとは思えない、引き締まった身体も、全部。 「ン、青、もう、平気」  俺だけが知ってる青。独り占めしたいんだ。青の全部が欲しくなる。皆が知ってる青も、俺しか知らない青も、全部自分の腕の中に閉じ込めて独占したい。 「青」  クテンと横になって、真正面から誘うっていうのはちょっと気恥ずかしくもあるから、横向きになって、青のほうを覗き込んだ。 「あの、い、いよ、もう……早く」  これじゃ、伝わらなかった? 青は目を丸くしてるけど、理解できずにフリーズしてる? 「青、えっと……早く、も、ここ、平気だから、来て」  横向きで寝転がっているけれど、どこが熱くて仕方がないのか明確には名前を言えないから、お尻をそっちへ向けるように腰を捻った。もう奥が熱くてたまらないんだ。早く、したい。早くそこの熱いとこをどうにかしたい。  青と、セックス、したい。  そう伝わるように遠まわしだけど言葉にした。あとは察して欲しい。  ねぇ、青、わかった? 俺の言い方で、して、って言ってるのわかった? 「みつ」 「あ、お?」 「あんま、煽らないで」  よかった。わかったみたいだってホッと零れた溜め息を食べられた。唇ごと、今日一日中格闘していた白玉と間違えたように、キスされながら、じっくりほぐされた孔の口に熱くて硬い青のが触れる。 「みつ、きつかったら、マジで、言って?」 「ん」  唇にも青の唇が触れて、熱くて、触れたとこ全部が熱くて、全部が「ちゅっ」って音を立てるからクラクラする。 「みつ……」  グッって押し込まれた青。 「んっ、ン、んんんんんっ」  頬にそっと優しく触れるくせに、声が出ないように手の代わりに俺の口元を塞いでくれるキスは力強くて、濃くて、やらしくて戸惑ってしまう。 「ン、んんっ! ン、んっ」 「み、つ」  俺の中にゆっくり、でもきつい粘膜の隙間を掻き分け突き進む強引な熱は苦しくなるくらいに気持ちイイよ。 「あ、おの……熱くて、気持ちイイ」  腰から捻って、上半身だけは青と向き合うような体勢。腰から下は横から青とがっちり重なって、繋がったところが深く突き刺さってる。 「ン、青っ」  青が俺の中にいるのがすごくよくわかって、自分のお腹んところが熱くて、すごく愛しい。 「みつ、ん、中、すごい気持ちイイ」  クン、クン、って、奥を突かれて、喉奥で押し留め切れない声がどうしても零れた。小さく、甘い声はたまらなく気持ち良さそうな声色をしてて、自分のものじゃないみたいだけど。 「みつのやらしい声、めっちゃ可愛い」 「ん、やぁっ……ン」 「ずっと、聴いてたい」  気持ちイイって、その言葉ばっか浮かんでくるんだ。あと「好き」って言葉。 「誰も、知らない、みつの声」 「あ、やぁんっ……ン、ぁっ……そこ、突かれたらっ」 「イイ?」  誰も知らない、青のこんな顔。誰も知らない俺の気持ち良くなる場所を、そんな青が攻め立てる。たまに激しく、たまにこっちから焦れて締め付け誘ってしまうくらいにやんわりと擦られてゾクゾクしてしまう。ほら、身体の奥がきゅんって青にしがみつく。青の硬くて太くて、やらしい形を確かめるように俺の中が吸い付いて絡み突いて、隙間なく絞ってしまう。 「あ、青っ、イイ、よ」 「みつっ」 「気持ち、よくて……ン、声、出ちゃう」  横から激しく突き上げられて、じゅ、ちゅ、ずちゅって音が青の腰の動きに合わせて聞こえた。青が奥深くを突く度に甘く苦しくて、愛しくなる。俺の中にいる青のことをもっと気持ち良くしてあげたくて自分からも擦り付けて孔の口を締め付けて。 「あぁぁぁっン」  我慢できない声を俺を閉じ込めるためにベッドについた肘、すぐそこにある掌に甘えるようにキスをした。掌のところに唇で触れて、声をその掌にだけ押し付けて。甘く攻めてくる快感に堪えられないから、ぎゅっと腕に両手を絡めて抱きついた。 「みつ、可愛すぎて、たまらないから、それ」 「ン、青っ……んんっンく……」 「なんか、自分の掌なのに、嫉妬しそう」  うっとりと俺を見つめる青に唇を奪われ、背中を逸らすような格好になった瞬間、さっきキスをした青の手、指に乳首を摘まれて、奥をペニスでズンって深く突かれて――。 「ん、ンンンンンンっ!」  頭が真っ白になるくらい、すごい高いところふわりと飛んでいく心地がした。

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