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ケモ耳SS 2 にゃぁ、して?
「あ、ちょ、青? すんの?」
「うん。待てないし、どっちの家も今日、無理でしょ?」
「でもっ」
戸惑ったフリをしてみたけど。
キスしたのは俺から。猫がじゃれてるようにキスしてみたけど、でも、息切らして俺を見に来てくれた青が可愛くて、嬉しそうにする青が愛しくて、キス以上のことを少しだけ願ったんだ。
「でも……」
「ダメ?」
青と、したいなぁ、って思った。
だから、今、額のところでコツンって触れられると、そんな胸の内を知られてしまいそうだから、ちょっとドキドキする。ここですんの? って、訊いておきながら、本当はしたかったのがバレてしまいそうで。
「そ、それに、ゴム、とか、ないよ」
「……あー、ある、かな」
「えっ? なんで?」
そのくせ、青がコンドーム持ってるって言われて、びっくりしたりして。
「クラスの奴が、その、くれた」
「はぁ?」
あ、なんだろ、ちょっとだけ、なんかチクチク痛い。青はそういうの持ってない人だと思ってたから、コンドーム常備なんてしてる感じじゃないっていうか、そのクラスの奴とどんな話でどんな流れでそれもらったんだよ、とか。
「クリスマスだし」
意味のわからない嫉妬にチクチクする。
「そういう場面あるじゃん? みたいな話になって」
そういう場面って? だって、男の俺と付き合ってることなんて誰も知らないことじゃんか。そしたら、そういう場面へ行き着く展開もないのに。ないはずなのに、そいつはどうして。
「うーちゃん?」
「!」
「俺の、彼女……さん?」
「っ!」
そして、和らいだチクチク。
うーちゃん、それは俺がこの前女装した時に島さんがつけた名前だ。後輩の子の一件で、青に急遽必要となった彼女の存在。でも、青が誰相手でも、それが事情を全て知っている島さんだとしても、「彼女」という存在を作りたくないから、好きなのは俺だから、じゃあ、俺が「彼女」になればいいじゃんって。
そんな感じで作り上げられた架空の彼女、うーちゃん。
「俺、ずっと彼女できなかったじゃん? そんで、ようやく訪れた春だなって、くれた」
「!」
「うーちゃんと、ラブラブしとけって」
「っ、ン」
言いながら、耳まで真っ赤になった青にキスされて、胸のところでトクンって、甘い蜜が落っこちたような感じ。胸で募った蜜が雫になって、滴り落ちて、お腹の底のところに溜まっていく。
甘くて、気だるくて、重いのが溜まって、舌でくすぐり合うキスに身体が熱くなる。
「……っん」
キスを終えると、鼻にかかった声が自然と溢れて、ほぅ、と外に零れる自分の吐息にさえドキドキして。
「ゴム、あるよ?」
「……」
したくなる。
「みつ?」
青と、したく、なっちゃうんだ。
「これ、つけたまんま、すんの?」
「できれば、お願い、したい……です」
「してるほうが、好き、とか?」
ちょっとだけ、それが心配で訊いてみたんだ。恐る恐る、うん、そうって言われたらどうしようって戸惑いながら。青の、シフォンケーキ色のニットをぎゅっと掴みながら、青の、だらしなくぶら下がったネクタイを見つめながら。
「耳が四つでも、五つでも、六つでも、尻尾があってもなくても」
「ンっ、んっふ……ン、ん」
また触れ合ったキスは甘さの中にゾクゾクしちゃう刺激が混ざってた。キスだけじゃ終われなくなるような、ちょっと先を予感させるような、煽るキス。
「どんな、みつでも、大好きだよ」
そのキスで柔らかくほぐれた唇を舐められながら、普段の青よりも低く掠れた声で告白されたら、もう――。
「床の上じゃ、みつ、汚れちゃうから」
「えっ、いいって」
「ダメ」
さっと手早く紅茶シフォン色をしたニットを脱いだと思ったら、それを床の上に広げた。そして、そのうえに押し倒されて、お腹のところに溜まった蜜がジワリと全身に巡っていく。
「背中だって、痛くしちゃうじゃん」
手を突いて、俺と天井の間に入り込んだ青の瞳が窓から差し込む光で輝いて、でも俯いているから少し翳ってる。そして、今からすることにちょっとドキドキした色気もまざって、とても綺麗に艶を帯びて、見つめ合うと視線を外せなくなるほど魅力的だった。
「みつ……」
「あっ……ンっ」
制服の内側に潜り込んだ手、もっと中へと侵入する指先に吐息が震える。めくり上げられたらちょっと肌寒くて、それすら今の俺にはドキドキする刺激にしかならなくて、首筋を吸われただけで甘い声が零れ落ちた。ただ、唇で吸われただけで、撫でられるのをずっと待ってた猫みたいに、全身で寄りかかって甘えてしまう。
「ン、青っ」
「みつの乳首、めっちゃ可愛い」
捲り上げられた制服、青の唇が触れてくれる箇所が刺激を期待して反応してた。気持ちイイの欲しいって、ツンと尖がってる。
「あっ! やぁぁっ……っん、ンっ」
そこにキスされて、堪えきれずに零れた甘い声にびっくりして、慌てて自分の裾で口元を押さえた。
「ン、んっ……んふっ」
ここ、学校なのに。
「ぁ、ンっん……青ッ、っあ」
青のニット一枚を敷いただけの学校の床で、こんなの。
「ひゃぁっンっ」
しちゃダメだって思うのに。
「みつの乳首、コリコリしてる」
「ん、だって」
思うけど、止めて欲しくなくて、手を伸ばした。片手を青の唇に、もう片方の手は自分の制服を捲り上げて、胸まで全部曝け出して、青がしてくれるキスの邪魔にならないように。
「だって」
引き寄せて、鍵をかけて誰も入って来れない準備室はとても静まり返っているけれど、それでも恥ずかしいから、耳元に囁いた。
「キス……、して、……ゃぁ」
恥ずかしくて、照れ臭いから青にすら聞こえないくらいに小さな声で、鳴いてねだった。
「ン、んん」
胸をまさぐる青の掌に手を重ねて、キスに答えてくれる舌にしゃぶりついて、猫みたいに甘えてみせた。
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