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中学時代

俺は中学校に入学してすぐに気が付いてしまった── 子供っぽかった小学校時代から一転、制服に身を包み皆んなが少し大人っぽく見える。お互い異性の目を気にするようになり、まずは髪型など手っ取り早く見た目から意識をして格好をつける。会話も専ら異性の話。誰と誰が付き合い始めたとか、もうキスは済ませたらしいとか、下世話な話で盛り上がる。 こんな俺でもどうやらモテるらしく、中学に入ってから三人の女の子に告白をされた。一人は同じクラスの結構人気のある女子。そりゃ可愛いとは思うけど、それ以上はどうも思わない。ましてや付き合いたいとかエッチなことがしたいだなんてこれっぽっちも思わなかった。あとの二人は上級生。二人とも大人っぽくていかにも自分に自信があります、といったような気取った女。確かに綺麗だけど、やっぱり俺は付き合いたいとは思わなかった。 そのかわり、俺がついつい目で追ってしまうのは、陽に焼けた引き締まった身体……笑顔が可愛いな、と思わず魅入ってしまうイケメンな男子…… 圧倒的に女子より男子の方が魅力的に思えてしまう。 皆んなとの会話に混じっていても、あんまり楽しいと思えない。きっと俺はおかしいんだなと、何となく自分は異質なんだと思いながら、このことはそっと胸の中にしまっておくことにした。 男が好きだといっても本気で誰かを好きだと思ったことはなく、テレビの中の好きな俳優とかアイドルを「いいな」と思うような、そんな憧れのような感情が湧くくらいだ。こんなことを誰かに相談することも出来ないし、別に学校生活に支障があるわけでもないので、俺はただ毎日を普通に過ごしていた。 「陽介、辞書忘れた! 貸してくれ」 小学校からの友達、靖史。こいつとはなんでも話せる俺の一番の親友。靖史は物静かだけど周りをよく見ていて、とても冷静で頼りになる存在。見た目は怖そうだとよく言われるみたいだけど、めちゃくちゃ優しい。それがわかるのか、靖史も凄くモテるんだ。 靖史になら相談もできそうだと思ったけど、やっぱりこればっかりは打ち明けることができないでいた。

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