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転校生

何も変わったこともなく、俺たちは二年生になった。この学校では学年が上がる毎にクラス替えがある。新学期に入ると新しいクラスの名簿が貼り出された。名簿を見て俺はガッツポーズをする。靖史と同じクラスになれたのが嬉しくてすぐに靖史のところへ飛んで行った。 「同じクラス! やったな!」 靖史とハイタッチをして喜び合う。教室に入ると知った顔が結構いて、楽しくなりそうだと余計に嬉しくなった。 始業式から数日後、いつものように朝のホームルームが始まり先生が出欠をとる。そして「さてと……」とつぶやくと、廊下の方へ顔を向けた。 「転入生だ。坂上、入って来い」 みんなの注目の中、ドアが開きちょっと小柄な男が入ってきた。先生に促されそいつは教壇の前に立つ。先生に「自己紹介」と言われた彼は簡単に「坂上圭ですよろしく」と気怠そうに挨拶をした。 いつもは騒がしいこの教室も、この時ばかりは静かに皆んなが坂上に注目している。勿論俺もその一人。きっとこいつはクラスの誰よりも小柄なはずなのに、どこか堂々としていて凛としたその姿は大きく見えた。鋭いその瞳に不覚にも俺は釘付けになってしまっていた。 「坂上は……一番後ろの空いてる席な」 そう言われた坂上は、すたすたと俺の方に向かって歩いてくる。俺の席は一番後ろ。その後ろが空いているからそこが坂上の席になる。こちらに向かい歩いている途中、目が合った。そしたら坂上は俺に向かってにこっと笑ってくれた。その笑顔に俺はどうしようもなく胸が弾み、変にそわそわしてしまった。 俺の後ろに坂上が座る。背後に坂上がいると思っただけで俺はどうにも落ち着かなくて無意識に背筋が伸びてしまう。 なんだろう、凄く変な感じだ。 そうこれが俺と圭ちゃんの最初の出会い──

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