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ぼんやり
楽しかった休日も終わり俺は圭ちゃんのいない学校へ。やっぱり圭ちゃんと同じ高校にしておけばよかったなんて、今更思ったってしょうがない。自分で決めたんだ。きっとこの距離感がちょうど良いんだと思う。
「陽介って、いつもボーっとしてない? 大丈夫? 悩み事? それとも天然?」
純平が俺の顔を覗き込んでくる。
「なんだよそれ。 純平、俺の事バカにしてるだろ」
「いやいやそんな事ないって。心配してんだよ。あ、 次体育だぞ! 急がなきゃ」
「おう……」
今日の体育はバスケ。急いで着替えて、待っていてくれた純平と一緒に体育館へ急いだ。
俺の通っている高校は男子校。これといって優秀なわけでもなく、真面目な奴とそうでない奴と色んな奴がいる。こういう授業だって殆どが真面目にやらないで怠そうにしていた。
圭ちゃん今頃なにしてんのかな? ちゃんと授業してるかなぁ。
「……すけ! 陽介! おいっ! 危ないっ!」
ぼんやりした頭の中に突然純平の声が響く。なんだ? と思ったのももう遅く、あっと思った時にはもう俺はバスケットボールを顔面に食らっていた。
気がついた時には俺は保健室のベッドの中──
俺は慌てて体を起こした。
「目、覚めた? バスケのボールが顔面に当たって気絶したんだよ。お友達が連れて来てくれたの。渡部くんっていったかな? お姫様抱っこで颯爽と現れて、なかなかのもんだったぞ 」
「は? 純平が? マジか……」
保健医の高坂先生が、ご丁寧に俺が連れてこられた状況を説明してくれた。なんだよ、お姫様抱っこって……純平が? 俺を? 参ったな、勘弁してくれ。めっちゃ恥ずかしいじゃん。
でも後でちゃんとお礼言っておかないとな。
「なんか君、いつもぼけっとしてるらしいけど、何か悩み事でもあるのかな? その純平くんて子が心配してたぞ」
高坂先生が俺の座ってるベッドに腰掛ける。
「悩みがあるなら、僕が聞いてあげるよ……」
この先生よく見ると凄い綺麗な顔してる。じじいばっかりの教師陣の中、高坂先生は結構若いよな…… 人気があるのも頷ける。
それにこの目。ジッと見つめられると引き込まれそうに感じる。ちょっと怖いくらいだ。俺の顔をジッと見つめる先生に、思わず見入ってしまう。気がついたら腰に手が回っていた。
「だ……大丈夫です! なんでもありませんから!」
俺は慌てて顔を背ける。
「そう? しんどくなったらちゃんと吐き出すんだよ? 僕はいつでもここにいるから……」
保健医の距離の近さにちょっと引く。俺は少しだけ休ませてもらってから、教室に戻ることにした。
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