20 / 134

圭ちゃんの家へ

今日は圭ちゃんの家で飯を食わせてもらう約束をしている。楽しみすぎて一日中顔のニヤケが止まらない。勿論靖史もいるんだけど、そんなことどうでもいいんだ。 放課後、俺はいそいそと支度をする。 圭ちゃんはこの土地に転校して来た時から一人暮らしだ。親父さんが有名なギタリストで、元々は親子でアメリカに住んでいたらしいのだけど、青春時代は日本で過ごしたいんだ! と言って単身でこっちに来たんだと教えてもらった。なんちゅう行動力だ……俺なら真似できない。めちゃくちゃ男らしくて益々惚れる。 中学の時はさすがに近所に住んでる祖父母が圭ちゃんの面倒を見に来てくれていたけど、高校生になってからは自炊して、しっかり一人で生活をしている。 そう! 圭ちゃん、めっちゃ料理がうまいんだ! 部屋もいつも綺麗だし……嫁に欲しいくらいだ。 途中で飲み物でも買っていこうかとスーパーに寄る。何にしようかな……お茶にしておくか、炭酸系にするか。迷っているところで靖史からメッセージが入った。 『陽介悪い! 急に用事が出来ちまった。圭によろしく言っといてな』 え? 靖史来られないの?……ってか圭ちゃんにも自分で連絡すりゃいいじゃんか。そう思ってムッとしたのもつかの間、それじゃあ圭ちゃんと二人きりじゃないか! と気がついた。気付いた途端、緊張してくる。心臓の鼓動が早くなる。 やべえ……一大事だ! と緊張しながらお茶を買って、「落ち着け落ち着け」と心の中で唱えながら俺は会計を済ませた。

ともだちにシェアしよう!