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アルバイト
実は来月は圭ちゃんの誕生日。
どうしてもプレゼントを渡したい。友達同士だってプレゼントあげても変じゃないだろ? そのプレゼントを買うために俺は学校の近くの喫茶店でアルバイトをすることにした。なかなかの時給の良さに客も少なめ。凄く楽でやりやすかった。俺は学校終わりに毎日のようにバイトに入った。
「いらっしゃいませ」
扉のベルの音に、テーブルを拭きながら俺はお客に挨拶をする。
「あ……」
顔を上げるとそこには保健医の高坂先生がいた。
「なに? 鷲尾くん、ここでアルバイトかな?」
「あ、先生……お疲れ様です。よく来るんですか?」
「んー、たまに来るんだけど……君がバイトしてるなら毎日でも来ちゃおうかな? 」
「……冗談はやめてください」
俺はこの人のノリがちょっと苦手だ。ふざけて言ってるのはわかってるんだけど、なんでかイラッとしてしまう自分がいる。なんなんだろうな…… きっと馬が合わないんだ。
「ははっ…… それにしても鷲尾くん、この店の制服似合うね。カッコよくてどきどきしちゃうよ」
「………… 」
やっぱり俺はこの人が苦手だ。
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