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接触
陽介が俺の髪、褒めてくれた。
嬉しい──
どうしても陽介に直接見てもらいたくて、俺は学校まで行ってしまった。靖史の言う通り、次に会う時でも別によかったんだけど何故だかすぐに行動に移してしまっていた。
陽介の制服姿、かっこよかった。一緒にいた友達と凄く仲が良さそうだった。
……純平っていったっけ?
俺の知らないところで陽介は普通に友達を作っていた。そんなの当たり前のことなのに、 どれくらい親しいのだろう? とか、少しもやもやと考えてしまっていた。
これはヤキモチ? いやいや……そんなんじゃないよな。
大切な親友だから、新しい違った環境で上手くやっているか気になっただけ。
少しの間、立ち話。でも陽介はバイトを始めたらしくすぐに行かないと……と行ってしまった。もう少しゆっくり話がしたかったからちょっと残念。陽介はどんなバイトをしているんだろう。詳しく聞かなかったから聞けばよかった。
何となく陽介のことばかり考えていて、唐突にまた会いたくなってきた。
そうだ、今日は会えるかな? 陽介、バイトは何時までなんだろう。あまり遅くまでやらねえよな? 夕飯作って待ってたら喜ぶかな? そんなことを考えながら、おれは陽介にメッセージを送ろうと携帯に目線を落とす。
道端で携帯をいじっていると綺麗な人に声をかけられた。綺麗な人と言っても男の人……
「こんにちは」
──誰だ?
「突然ごめんね。そんな怖い顔しないで……陽介くんと話してたでしょ? お友達?」
「はい、そうですが……なんですか?」
この綺麗な男の人は、高坂と名乗った。陽介の学校の保健医らしい……若いな。
「いや、最近ね……彼、悩み事があるのかぼんやりしていることが多くてね。気になってるんだよ。そしたら君と楽しそうに話してたのを見て仲良しなのかな? どんな子かな? って思って、思わず声をかけちゃった」
その保健医は陽介のことが心配だからと言って俺に声をかけたと笑う。見た感じ若くてチャラそうだからとてもじゃないけど学校の関係者には見えなかった。警戒したけど、陽介が悩みを抱えてると聞いて、それはきっと俺の事だと少し罪悪感が湧いてしまった。
「君、名前は? よかったら僕と少し話さない?」
普通に誘われてしまったけど、俺は帰って陽介が来るのを待ちたいし、そもそも初対面の相手とお茶したりとかありえないから……
「いや、すみません。俺これから用事あるんで」
嘘も方便。陽介からの返事はまだだけど、この人とこのままお喋りを続ける気にはならなかったので適当に断わった。
「そっか、じゃぁまたね 」
高坂さんは俺にヒラヒラと手を振り去って行った。
最初の印象、変な人……
俺はこの人とはこれっきりだと思っていた。
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