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どうしようもない

「あれ? ……陽介くんの片思い?」 うるさい うるさい! それ以上言うな! そう文句を言いたいのに、口を開けば泣いてしまいそうで怖かった。目に涙が溜まっているのがわかる。悔しくてしょうがない…… 「そんな怖い顔しないでよ」 俺の頬を撫でていた高坂の手が俺の顎でとまり、覗き込んでいた綺麗な顔が近付いてくる。 驚いた俺は慌てて顔を背けた。 そんな俺に高坂はクスっと笑った。 「大丈夫だよ、心配しないで。陽介くんは僕のタイプじゃないから。そうだなぁ……どちらかというと可愛い顔して気が強そうな子がタイプかな? そうそう! あの赤髪の子みたいな 」 「……圭ちゃんには近づくなよ!」 カッとなって思わず起き上がり言ってしまった。言った瞬間後悔した。 「へえ、圭ちゃんっていうんだ。可愛い名前だね。また会いたいな」 高坂は俺を見ながらニヤニヤしている。 ほんと、勘弁してくれ…… 圭ちゃんが同じ学校じゃなかったのが救いだ。こういう奴は冗談なんだか本気なんだかわかりゃしない。 「でもさ、陽介くんそんなに憔悴しきっちゃって……ほんと、何があったの?」 「………… 」 起き上がった俺の肩を優しく押し、ちゃんと寝てろと言う高坂に素直に従う。一瞬興奮して起き上がったけど、やっぱりフラつく頭はそのままで気持ちが悪くなってしまった。 「これでも僕は君のこと心配してるんだからね? いつでも話は聞くから……とりあえず、今はしっかり休んでなね」 情けなかった。自分が悪いのに悲劇のヒロインよろしく体調を崩して心配をかけてる。純平だってずっとそんな俺を見ていたんだ。どんな気持ちでいたのか考えたら申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまった。 気持ちが落ちてる時は判断力も鈍るってもんだ…… あんなに嫌っていた目の前の高坂に思わず縋ってしまいそうなくらい俺はどうしようもなくなっていた。 「…….俺、好きなのに……嫌われるような事しちゃったんだ」 口から溢れてしまった。 「あーあ、ノンけの彼に早まっちゃったってことか……バカだねえ」 呆れた顔をして高坂は俺を見下ろす。言ったそばから後悔。なんで俺はこんな奴に話してしまったんだ。こいつの言う通りなんだけど、はっきり言われるのもムカつくしショックだった。 「こんな体調崩すくらいウジウジしてるなら、さっさと謝るかヤっちゃえばいいのに」 「………… 」 こんな奴に話すんじゃなかった! 俺の馬鹿! 「もういい! 寝る! 」 気分も最悪! 誰にも言えずにいたことを吐き出せてスッキリはしたけど、同じくらい腹が立ってモヤっとしてるから現状変わらず……でもなんとなく気力は少し回復したような気がした。

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