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緊急搬送
今日は蒸し暑いな……
夏ももう終わりだというのにこの暑さ、少々体に堪えるな、と俺は一人冷房の効いた保健室でコーヒーを啜る。
陽介君、どうしているかな? 悩んでるお相手の子は確か「圭君」と言ったっけ。
あの時、陽介君と話していた時の顔、相当好意があるように見えたんだけどな。俺にはどう見てもカップルにしか見えなかったんだけど、きっとお互い微妙な位置にいるんだろうな。
それにしたって、陽介君のあのやつれようは酷い。ちゃんと飯食ってんのか?
多感な年頃だから、無理したり思い詰めたりはよくあることだけど、あまりにも陽介君の状態は酷く感じた。
何があったか知らねえけど……
相手のことを思ってあんなになってしまうなんて、少し羨ましいと思ってしまった。
苦しくて辛いけど。俺は早くに諦めちまった初々しく胸を焦がすような恋愛……
俺もそんな青春を過ごしたかったな……なんて、思ってしまった。
今は昼をまわった五時限目あたりか。
空気を入れ替えようと保健室の窓を開ける。すると外が騒がしいのに気がついた。
何事かと窓から顔を出しグラウンドの方を見ると、どうやら外で体育をしていて誰かが倒れたらしい。
嫌な予感がした。
慌てて外に走り俺が目にしたのは、生徒達に囲まれて倒れている陽介君の姿だった。
「どうした? 先生は?」
そこにいた生徒たちに話を聞くと、突然倒れて頭も打ったらしく意識もないという。救急車はすでに呼んであるらしいので間もなく到着するだろう。
見たところ熱中症だな。
まったく……
そんな絶不調な状態で体育なんてやってんなよ。バカかよ……倒れるの、当たり前だろ。
程なくして救急車が到着し、担任が付き添い陽介君は病院へ運ばれた。
付き添った担任から連絡が入り、熱中症の処置と頭を打っているので精密検査などもあるから時間がかかるということがわかった。入院……じゃないからそんなに酷くはないんだろうからちょっと安心。
後で俺も病院に行くために早めに支度を済ませた。
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