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相思相愛

「陽介、帰るの……?」 なぜだか不安そうな顔で圭ちゃんが俺に聞く。 そろそろ家に帰るつもりでいたけど……圭ちゃん、どうしたんだろう。 「陽介、俺の家、寄って行って……」 俯き加減で圭ちゃんが小さく呟く。そうだ、突然のことで喜んでしまっているけど、俺はちゃんと圭ちゃんに謝らなくっちゃいけないんだ。 「……うん」 胸がキュッとする。圭ちゃんに何を言われても、俺はしっかり謝って……これからも 圭ちゃんと友達としてでも構わないからそばにいたい。 そう伝えたい。 薄暗くなってきた道を圭ちゃんと二人で並んで歩く。 いつもの道、見慣れた道を黙って歩く。 沈黙…… 圭ちゃんは何を思っているのだろう。 そっと圭ちゃんの顔を覗き見ても、表情はわからなかった── 「えっ……?」 玄関に入り、ドアが閉まるか閉まらないかのタイミングでいきなり俺は圭ちゃんに抱きつかれていた。 「け、圭ちゃん?」 驚く俺の声が聞こえないのか、圭ちゃんは抱きついたまま顔も上げずに何も言わない。 俺はどうしていいのかわからず、抱きつく圭ちゃんの背中へ手をまわした。 少しの沈黙の後、圭ちゃんが口を開いた。 「……ごめん。俺は」 あぁ、やっぱり。 「俺こそごめん! 圭ちゃん、男同士なんてやっぱり無理だよね。うん、わかってる。圭ちゃんは優しいから、俺、調子乗っちゃったんだよ……お酒のせいにしてさ、ほんと最悪。ごめんね。でももう嫌なことしないからさ、今まで通り……」 「何言ってんの?」 「え?」 俺は謝罪と言い訳をまくしたて、言い終わらないうちに圭ちゃんに遮られてしまった。 抱きついたままの圭ちゃんが俺の顔を見上げてる。 真面目な顔── 「ちゃんと最後まで聞いて! 陽介。俺は陽介が好きなんだよ。あの時……はっきりわかったんだ。友情なのか恋愛感情なのかわからなくて悩んでたけど、間違いなく俺は陽介が好きなんだってちゃんと気付けたんだ……」 え?……えっ? 「ねぇ、俺の涙にビビって逃げたの? 俺のこと嫌になって逃げたんじゃないの?」 圭ちゃん……何言ってんの? 「俺、陽介がキスしてくれたり……お、俺に興奮して、その……色々してくれたこと、嬉しくて……気づいたら涙が出てて」 真っ赤になりながら、圭ちゃんがそう言う。 嘘だろ? 信じられない! 圭ちゃんも俺の事が好き? 「……もしかして圭ちゃん、嬉し涙だったの?」 恐る恐る聞くと、プイと怒った顔で「そうだよ! 悪いかよ!」と答えてくれた。

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