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幸せ絶頂からの…
マジで? 嘘みたいだ!
「圭ちゃん? 俺と、その……つ、付き合ってもいいって事、でいいのかな?」
半分わけわかんなくなりながら、恐る恐る圭ちゃんに聞いてみる。俯いたまま頷く圭ちゃんに、もう俺は舞い上がってしまった。
嬉しさが爆発して思いっきり圭ちゃんを抱きしめる。
「圭ちゃん! 圭ちゃん!」
アホみたいに叫びながら笑いが止まらなかった。相当変な奴だよ。でも抑えらんないくらい嬉しかったんだ。
「ちょっと……陽介苦しいって」
圭ちゃんが俺に抱き潰されながら赤い顔をして睨んでる。怒ってるのかと思いきや、圭ちゃんは泣いてしまっていた。
圭ちゃんの頬を伝う涙をそっと拭うと、ハッとした顔をして俺のその手を掴んだ。
今度は顔をしっかりこちらに向け、優しい笑顔で俺に言う。
「今まで待たせちまって、ごめんな。ありがとう陽介」
その優しい笑顔が、俺の胸を今まで味わったことのない幸福感でいっぱいにさせた。
「圭ちゃん…… キスしていい?」
一瞬、圭ちゃんはギクっとしたように見えた。やっぱり男同士は躊躇するのかな。いきなり直球過ぎたかな……
「キスとかはやっぱり抵抗あるよね? こないだは少し酔ってたから……圭ちゃんがこういう事が大丈夫になるまで俺は待つから。俺、圭ちゃんのこと大事にするから安心して」
「………… 」
少しの沈黙──
「ううん、大丈夫。陽介……キスして」
俺は圭ちゃんから「キスして」なんて言葉を聞くとは思ってもみなかったから、軽くこの幸せに目眩をおこした。夢じゃないよな? 大丈夫だよな?
今度はできるだけ優しく、いやらしくならないように……俺はそっと圭ちゃんに唇を重ねた。舌なんか入れない。啄ばむような軽いキス。それでも俺は泣きそうになるくらい幸せで嬉しかった。
心臓が破裂しそうなくらいドキドキしてる。
圭ちゃん、嫌じゃなかったかな?
そぉっと目を開けて圭ちゃんを見ると、また頬に涙が伝っていた。
なんだか悲しそうな顔……
圭ちゃんの表情が、何故だか悲しげに見えてしまってドキッとした。
「……あれ?」
さっきまで気がつかなかったけど、今の俺の位置からはよく見える。圭ちゃんの首筋にある薄っすらとピンク色した小さな痕…… 極々薄いその痕だけど、でも俺は知っている。
でも何で?
何で圭ちゃんの首筋にそれが付いてるんだろう?
いや、薄いし虫刺され……とか?
俺は圭ちゃんにそのことを聞いてしまった。だって気になってしまったから。しょうがないだろ?まさかあんな顔されるとは思わなかったんだ。
「圭ちゃん、その……首筋の、どうしたの?」
圭ちゃんは少しきょとんとした。でもすぐにその首を手で押さえ、洗面所に走って行った。
しばらくすると、微笑みながら戻ってきて「これ、虫刺され」と俺に言った。
……圭ちゃん、それ笑顔のつもりかな?
今にも泣きそうな顔して笑わないでよ。
そんな顔して笑うなよ。
圭ちゃんが嘘をついてるのは明白だった。
でもこれ以上圭ちゃんを追い詰める事はしたくなかったから、俺は言葉を飲み込んだ。
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