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燻る
次の日もになっても何となく体が重くて気分が沈む。それでも俺は学校に行かなくちゃいけない。いつもと同じに朝食を食べ、モヤモヤとした気持ちのまま学校に向かった。
やっと心が晴れたと思ったのに……
圭ちゃんの気持ちがわかったのに……
なんで俺はこんなにイヤな気持ちになってんだろうな。
教室に入ると純平が俺に気付きすっ飛んできた。
「もう! 陽介、心配かけんなよ。いきなり倒れるから俺……びっくりしたよ」
目を潤ませてながら怒ってる純平を見て、そういえば俺、昨日倒れて病院に運ばれたんだっけ……と思い出した。
「ごめんな、心配かけてばっかだな。もう大丈夫だから……」
「…… なぁ、お前全然大丈夫そうに見えないんだけど、無理してねぇ?」
また純平が心配そうに俺の顔を覗き込む。なかなか純平の心配がおさまらない様子だったから、俺は圭ちゃんとの事を報告した。
圭ちゃんも俺の事が好きだと言ってくれた……
「陽介、よかったじゃん! マジか! おめでとう!……でもさ、なんでかなぁ、陽介あんまり嬉しそうに見えないのは気のせい? 何か思うことでもあんのか?」
男同士で恋が実るなんて奇跡だろ! と純平は言う。それなのに俺が嬉しそうじゃないから不思議に思うらしい。
そうだよ…… 死ぬほど嬉しいはずなのにな。全然俺、笑えなかった。
「いや、そんなことないよ。長いこと片想いしてたから、なかなか実感がわかないだけだよ……」
俺は適当に誤魔化してしまった。純平はそんな俺に「ふうん、そういうもんか」とぼそっと呟き、そして何かを思い出したようにパッと表情を明るくした。
「あ! そうそう、さっきさぁ、保健医の高坂センセがお前の事心配して教室に来てたよ。 保健室に顔出しておいた方がいいんじゃね?」
嬉しそうな純平の顔……ちょっとイラっとする。
「陽介は最近保健室にお世話になってばっかだもんな。俺もたまには具合悪くなっちゃおうかなあ、でも俺いつも元気なんだよな……」
純平がまたアホなことを言っている。少し揶揄ってやろうと思って「アイツのこと好きなの?」なんて聞いてみたら、思いもよらない赤い顔で慌てるもんだからちょっと引いてしまった。
「いや……だって、先生かっこいいだろ?」
おいおい、やめとけって。
あんなの憧れるだけに留めておけよ。
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