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抱いてもいい?
「今日の晩飯はなに?」
「それさ、今日は陽介が作ってみる? カレーくらいなら作れるでしょ? 俺も手伝うし……どう?」
カレーにするつもりで材料を買いながら、俺と一緒に作ってみたくなったんだと圭ちゃんは可愛く笑う。そんな風に言われちゃヤダとは言えない。正直言って包丁すら家庭科の授業で一度か二度程度しか触った経験がないから圭ちゃんに唆されて流血する未来しか見えないんだけど、大丈夫か?
でも、いつものエプロンを俺に着せて嬉しそうにしている圭ちゃんをがっかりさせたくないから頑張る事にした。
「ジャガイモはこのピーラーを使って……そうそう、上手 上手! 凄いじゃん、全然オッケー」
圭ちゃんは思った通り「褒めて伸ばす」優しい教え方をしてくれる。案の定調子に乗った俺は自分の力量以上のこともやってみたくなってしまった。だって俺、圭ちゃんに褒められてんだよ? 上手くいくに決まってるし。
「あ! 待って……包丁は……その持ち方じゃなくて……うわっ、あぶねっ! ……ひゃあ! 陽介そりゃ怖えよ! ダメだって、待って」
頑張って野菜も全部俺が切ってやろうとしたら、圭ちゃんに止められてしまった。怪我したら大変だからここは俺に任せろだってさ。
「……お願いします」
ちょっと不本意……でも、圭ちゃんの言うことはもっともだから大人しく見守ることにした。
やんややんや言いながらも、圭ちゃんの指導と共同作業で美味しそうなカレーが完成した。
俺が散らかしっぱなしにしていた調理器具なんかを洗ってると、圭ちゃんが後ろから抱きついてくる。
「なんか……こんなの前にもあったね」
俺に抱きつきながらくすくすと悪戯っぽく笑う圭ちゃん。思い出して恥ずかしくなってしまった。俺は背中から回された圭ちゃんの両手を握り、口元に持って来てチュッとする。ピクッとする手を離されないようにグッと握り何度もその手にキスを落とした。
「ちょっと、陽介……」
俺は振り返り、圭ちゃんの頬に両手を添えて今度は唇にキスをした。
嘘みたいに幸せだ──
キッチンのシンクの前で、お互い舌を絡めあいながら深く深くキスをする。腰に回した手を這わせ、服の下から直接圭ちゃんの脇腹に触れた。それだけで圭ちゃんは堪らない顔をして腰をくねらすから俺まで堪らなくなってしまうんだ。
「圭ちゃん 結構敏感だよね」
「お前だからだよ……」
陽介だから特別なんだと照れ臭そうにそう言う圭ちゃん。俺だって同じ。
「圭ちゃん……抱いてもいい?」
カレーなんて後でもいい……
今すぐ圭ちゃんを抱きしめたい。
抱きたい……
抱いてもいい? なんて改めて言うのはめちゃくちゃ恥ずかしかった。
「うん、シャワー行ってくるから、待ってて……」
きっと圭ちゃんだって俺に泊まっていってと言った時点でそういうことを期待してくれてるんだと思ったから……
圭ちゃんも恥ずかしいのか真っ赤な顔をして風呂場へ行ってしまった。
ドキドキする。
尋常じゃないくらい心臓がドキドキしている。こんなんで俺、大丈夫なのかな? それより圭ちゃんのベッドで待っててもいいのかな?
圭ちゃんがシャワー終わったら俺もシャワーを浴びに行こう。綺麗にしなくっちゃ……あれ? 俺も今圭ちゃんと一緒にシャワー浴びに行った方がいい? 圭ちゃん俺が来るの待ってないよね?
……ダメだ! テンパりすぎてやらかしそう。
一応家からローションとか持ってきたけど……うわ! これってやる気満々だって思われるんじゃね? いや、大丈夫……お互いこいういう事するってわかってるはずだから……
そうだよね?
頭ん中悶々悶々………
なんとも言えない緊張感に襲われながら、俺はベッドに腰掛けて大好きな圭ちゃんを待った。
どれくらい時間が経ったのだろう──
考えすぎて思考が停止したままボーッとしていたら圭ちゃんが戻ってきた。服を着ている圭ちゃんにちょっとがっかりするも、いやいや当たり前か! と我にかえった。
「俺もシャワー借りていい?」
「いいよ」
圭ちゃんは俺と目も合わさずに返事をした。
シャワーを借りて、家から持ってきたスウェットに着替えてから部屋へ戻ると、ベッドにちょこんと腰掛けてる圭ちゃんが目に入る。緊張しているのか真一文字に口を結んで黙ってる。
……なんか可愛い。
俺は隣に座り、圭ちゃんの腰に手を回した。ドキドキがうるさくて、心の中で「鎮まれ!」と叫ぶ。テンパってしまわないように必死に気持ちを落ち着かせた。
そのまま圭ちゃんを押し倒しながらキスをした。でも気が急いてしまって乱暴になってないか心配になった。
ゆっくりと服を脱がし、首筋から胸、脇腹やおへそに軽くキスを落としていく。擽ったいのかクスッと笑ってぺチッと肩を叩かれた。
「陽介…… 」
圭ちゃんは俺の頬をそっと触り、優しくキスをしてくれた。
圭ちゃんの方がよっぽど落ち着いている。リードしてやりたいのに緊張しすぎてちょっと無理そう。我ながら情けない……
遠慮がちに圭ちゃんの舌が歯列を擽る。俺はそれに応えるようにして軽く舌を差し出した。お互い確かめ合うように唇を重ねる。頬に触れる手、頭を撫でるその手から愛しいと言う感情が伝わってくる。
キスだけでこんなにも気持ちがいいなんて知らなかった……
圭ちゃんの手が、服の上から俺自身に触れる。チラッと俺を見て「陽介の、こんなになってる…… 」なんて囁くもんだから、恥ずかしくて何も言えなくなってしまう。それでももう堪らなくなってしまい「脱がせて……」と言ってしまった。
圭ちゃんは何も言わず俺の言う通りにしてくれる。俺の服を脱がし、そのまま勃起したそこに口付けた。
うわ……なんかエロい。恥ずかしい……
俺ばっかり気持ちよくさせられてちゃダメだと思い「俺にも触らせてね……」そう言いながら圭ちゃんのそこに触れ、舌を這わせた。
圭ちゃんもしっかり勃っているのが嬉しかった。
「んっ……よ、陽介……あ、ダメ……」
圭ちゃんが可愛い声をあげる。もっと声が聞きたくて、俺は更に激しく口を動かす。グチュっとイヤらしく音が漏れるたびに、圭ちゃんはビクッと反応をした。圭ちゃんにフェラしてもらいながら、俺も圭ちゃんのそこを咥える。
ずっと片思いだと思っていた相手とこんなに淫靡なことをしているなんて、未だにちょっと信じ難い。
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