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新学期

俺たちは進級して二年になった。 成績と出席日数がヤバかったけど、俺はなんとか留年を免れた。 圭ちゃんは、ああ見えて頭がいい。俺と違って危なかったのは出席日数くらい。俺の成績を心配した圭ちゃんは、たくさん勉強を教えてくれた。お陰で成績も少しだけど上がったんだ。俺的には圭ちゃんが家庭教師なら毎日でも大歓迎。初めて勉強が楽しいって思えたのはやっぱり「愛」の力ゆえ? 新入生の入学式も終わり、今日はオリエンテーション。 真新しい制服に身を包んだフレッシュな一年生達を廊下で見かけた。そんな様子をちょっと懐かしみながら、俺は純平と屋上へ向かっていた。 今日は特に授業もないからのんびりしよう、ということで…… 屋上に到着し奥を見ると、俺達と同じ考えなのか既に先客に場所をとられてしまっていた。 ベンチに横になっていたそいつはチラッとこちらに目をやると、怠そうに体を起こす。 あれ? 見た事ない奴だ…… 陽に透けるような金髪に所々メッシュが入り、かなり目立つ頭。目が悪いのか、元からそういう目付きなのか、喧嘩売ってんのか? と思わせるような目付きでこちらをジロッと見ると、ゆっくりと立ち上がる。 ……デカっ! 寝そべっていたからわからなかったけど、立ち上がってわかるこいつのデカさ。ゆっくりとこちらに目をやりながら、そいつは黙って屋上から出て行った。 「なぁ、今の奴…… 」 デカかったな、ビビったね……と笑って言おうとしたら、純平がいきなり俺の腕をギュッと掴んだ。 「何?? 今の奴、超怖えぇ!! 」 純平は情けない声を上げ、本気でビビった様子で俺の後ろに身を隠した。 純平、ビビりすぎだって…… 「あんな目立つのに今まで見たこと無いって事はさ、一年かな?」 「まさか! あんなデカくて怖そうなのに?? 先輩だよ、きっと。ありゃ転校生だ」 そしてそのまま俺達は屋上でのんびり一日を過ごし、あのデカい奴と遭遇する事はなかった。 俺と純平は部活に入っていない。所謂帰宅部ってやつだ。 この時期、各部活動では新入生を入部させようと色々勧誘をしてるんだけど、俺らみたいに部活に入ってない奴らにも声をかけてくるから面倒臭かった。 俺は圭ちゃんのプレゼントを買うために始めた喫茶店のバイトを今でも続けている。 新人のバイト君も入ったりして、俺はもうベテラン扱い。店長も何かと優遇してくれるし居心地がいいから続けている。 だから俺は部活には入るつもりは更々ない。バイトの方が楽しいからね。 今日も放課後になると一年生を勧誘しながら、俺にも入れと煩い奴らに捕まりそうになった。 バイトの時間まで少しあるから、煩わしさから逃れるために俺は保健室に逃げ込んだ。

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