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嫌いにならないで

寝ちゃったのかな? ぐったりと動かない圭ちゃんの体を簡単に拭いてやり、俺は自分のゴムをパチンと外す。 久しぶりだったからか、凄え出てるし。 ゴムの先をキュッと結んで適当にゴミ箱の方に投げたら、見事吸い込まれるように入って一人ガッツポーズを決めた。 ……てかさ、圭ちゃん起きないなあ。大丈夫……だよな? なんだか変なスイッチ入っちゃって、やり過ぎてしまった。意地悪し過ぎたかもしれない。ちょっと乱暴だったよな……と、穏やかな顔をして寝ている圭ちゃんを見て反省した。 でも、圭ちゃんがあんなになっちゃうなんて想像もつかなかった。凄えエロくて可愛かった。 頬をほんのり赤く染め、静かに寝ている圭ちゃんを見つめる。 横たわる少し小さなその体に寄り添い、愛しいその唇にそっと触れてみた。 圭ちゃんは「んっ…」と小さく唸り、眉間にきゅっと皺を寄せる。キスをしようと顔を近付けたら圭ちゃんはパチっと目を覚ました。 「……?!」 圭ちゃん、俺と目が合うなり飛び起きて真っ赤っか。 「おはよ、お目覚め?」 真っ赤になって何も言えないでいる圭ちゃんが可愛い。何か言いたいのか、可愛い口がパクパクしてるけど言葉が出てこない。俺は堪らなくなって、その唇にキスしてしまった。 「んっ、……う、んん…… 」 力が抜けてんだか恥ずかしいんだか、ぷるぷるとしてる圭ちゃんが何かの小動物に見えてくる。さっきまでのセックスが恥ずかしくって俺は誤魔化すように圭ちゃんにちょっかいを出してしまった。ギュッと抱きしめたりキスしたり…… それでも圭ちゃんは何も言ってくれないからいたたまれなくなってしまった。 「ちょっと! 俺だってめっちゃ恥ずかしいんだからね、圭ちゃんも何か言ってよ……」 圭ちゃんの前に座り直し、照れながら俺はそう言った。 「……‥… 」 あれ? 圭ちゃん、黙ったまま俯いちゃった。 「……圭ちゃん?」 俯いたまま、俺の胸に抱きついてきた。小さく震える圭ちゃんの様子がおかしいのにすぐに気がつく。俺の胸に顔を押しつけるようにして抱きついてるけど、この熱く滴るものは一体…… まさか! 俺はハッとして圭ちゃんの肩を掴み胸から引き剥がす。まさかとは思ったけど、圭ちゃんは顔をぐしゃぐしゃにして泣いていた。 「圭ちゃん? やだ! 泣かないでっ、ごめん! ごめん! 俺やり過ぎたよな! ごめんね圭ちゃん!」 慌てて俺は圭ちゃんをきつく抱きしめる。 肩を震わせ、嗚咽を漏らしながら泣きじゃくる圭ちゃんに、俺はどうしたらいいのかわからず ただただ抱きしめることしかできない。 もう一度圭ちゃんに謝ろうとしたその時、圭ちゃんが小さく深呼吸して話し出した。 「……俺、ダメだよ……陽介以外 考えられない。お願いだから許して……もう陽介の嫌がること、絶対しないから……お願い……陽介の好きなようにしていいから……お願いっ、俺の事、嫌いにならないで」 俯いてぼろぼろと涙を落としながら俺に許しを請う圭ちゃんの姿を見て、胸がギュッと締め付けられる。 ほんの悪戯心で意地の悪いセックスをしてしまった。圭ちゃんも悦んでくれてると思い込んで独り善がりなことをしてしまった。まさかこんなに追い詰めてしまってたなんて…… 許すも許さないも、最初から俺は許してたのに── 「圭ちゃん、顔上げて。俺の顔見て…… 俺の方こそごめん! 嫌いになんかなるわけないでしょ!俺だって圭ちゃん以外ありえないから」 圭ちゃんの涙を手の平で拭いながら俺は一生懸命謝った。 「初めから怒ってなんかないよ。ごめんね…… だってさ、圭ちゃんいつも以上に感じてるみたいだったから……言葉攻めとか、恥ずかしいこととかいっぱいしたくなっちゃって……俺、調子乗って止まらなくなってた」 そう白状すると、圭ちゃんは顔をぐしゃぐしゃにしたまま真っ赤になって怒り出した。 「なんだよそれ! 陽介のバカっ! 」 思いっきり俺の胸をグーパンチする圭ちゃん。めっちゃ痛いけど、よかった……泣き止んでくれた。 「でもさ、言葉攻めとかされて圭ちゃん気持ちよかったんでしょ? ちょっと乱暴でも大丈夫なんでしょ? 乱れっぷり凄かったよ……俺も凄えよかったし」 そう言って圭ちゃんを見ると、ちょっと照れながらも小さく何度も頷いた。 「……俺、Mなのかもしれない」 ポツリと恥ずかしそうに呟いた圭ちゃんが可愛すぎて、俺はまた力一杯抱きつきキスをした。

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