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スタジオ練習

ぼんやりと目を覚ますと、すぐ目の前に静かに寝息を立てて眠っている圭ちゃんの姿── あれから二人で眠りについて、朝は圭ちゃんお手製の朝食を一緒に食べた。食べてからスタジオ練習の時間を確認して、まだまだ夕方までたっぷり時間があるからと言って、またイチャイチャとエッチしてるうちに寝ちゃったらしい。 いくら休日だからって殆ど圭ちゃんといちゃつきながらベッドの上だなんて…… 幸せすぎて俺、ダメになっちゃう。 可愛い顔して眠っている愛しい人の頬を撫でながら、俺は幸せを噛み締めていた。 「あれ? 今何時だ?」 唐突に目を覚ました圭ちゃんが俺の手を払いながら時計を確認する。ちょっとはデレてくれたっていいじゃんか…… なにこの寝起きの良さ。圭ちゃんの言葉に時計を見ると、もう四時を過ぎていた。 「うわっ、マジか! 陽介急がなきゃ!」 二人で慌ててシャワーを浴びて、支度をする。 俺は今夜もここに泊まるつもりだから一旦家に戻って制服を取りに行かなきゃならない。 「遅刻遅刻!」とバタバタと着替えている圭ちゃんに「荷物取りに家寄ってからスタジオ行くわ」と声をかけ、俺は先にマンションを出た。 家で学校の用意をして、再び圭ちゃんのマンションに行き荷物を置く。 圭ちゃんはもうスタジオに行っているので、俺も急いでそこへ向かった。 今日は周と修斗がいるはず…… 昨晩の周の圭ちゃんに対する接し方がやっぱり気になる。酒が入っていたから……そう思いたかったけど、どうしてもモヤモヤとした気持ちは拭えなかった。 スタジオに到着すると顔見知りの受付のお兄さんと目が合った。 「お、いらっしゃい。圭くん達は三番ね……」 スタジオの番号を聞きドアの前で様子を見ると、周がギターを弾く隣で満足そうな顔をして圭ちゃんが頭をコクコクしながらリズムを刻んでいるのが見えた。 これといって何もない。うん……普通だ。 俺は圭ちゃん達がスタジオ練習しているときは、スタジオ内での見学は極力少しの時間にして、大抵は部屋の外、ここロビーの所で待つようにしている。圭ちゃんの気が散ってしまったら悪いから…… だから今日も少し顔を出すだけのつもりで、頃合いを見計らって室内に入った。 「あ、陽介! ねぇ、聞いて。周ってば凄え上手いよ!ギター」 圭ちゃんが少し興奮気味に俺に話す。圭ちゃんが褒めるくらいなんだからよっぽどなのだろう。周を見ると圭ちゃんを見つめて嬉しそうにしていた。 「ほら、さっきのもっかい弾いてみ」 圭ちゃんに促され、周がギターを弾き始めた。 確かに上手だ。俺はギターの事はよくわからないけど、圭ちゃんのギターの弾き方に似てるような気がする。嬉しそうな圭ちゃんが何か言いたげに俺の顔を見た。 「うん、上手いね。かっこいいよ」 俺は圭ちゃんと周にそう声をかける。 透君が地味だったって言うわけじゃないけど、派手な周や修斗が入ることでまたバンドのイメージもだいぶ違ってくるんだろうな。 「修斗もね、なかなかのもんなんだよ。これだけ上手けりゃスムーズだな。いい奴ら紹介してくれてありがとな、陽介」 圭ちゃんがとびっきりの笑顔でお礼を言ってくれた。 可愛く笑ってる圭ちゃんを見つめてると、その背後から周が近付き突然圭ちゃんに後ろから抱きついた。 突然のことに圭ちゃんは驚いたのか、オーバーなくらい体をビクッと跳ねさせ怯えた顔をして俺を見る。 怯えたような表情の圭ちゃんと背後の周。周はなぜか俺のことをジッと見つめた。 「……?」 俺を見る周の表情がニヤけている。 「ちょっ…… 周? なに?」 圭ちゃんは慌てて周を振り返った。 「俺…… 圭さんにそんなに褒めて貰えるなんて嬉しすぎる」 そう言いながら周は一度俺の顔を確認してから、圭ちゃんの頭頂部に顔を埋めた。 ……瞬間、俺の中で何かが弾けた。

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