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売られた喧嘩は買う主義で…

周が圭ちゃんの頭にふんわりと顔を埋めた── 後ろから抱きついた時も今も、周は俺の事をわざわざ確認するように目線を送ってきた。 圭ちゃんは俺の事を気遣ってか、少し心配するような目をしてこっちを見てる。 周の顔が圭ちゃんの頭に埋まる瞬間にそれらの考えが頭を巡り、俺の中でパッと弾けた。 気づいたら体が動いてしまっていた。 油断している周の横腹に蹴りを入れ、そしてよろめいた瞬間に殴りつけてやった。思いのほか綺麗に決まったみたいで周はそのまま吹っ飛んでいった。 俺は圭ちゃんを自分の胸に抱き寄せ周を睨む。 壁際に尻餅をついた周は、何が起きたのかわからないといった顔をして俺を見ている。 圭ちゃんも振り返って初めて周の状態に気付いたらしく、慌てて俺に詰め寄ってきた。 「ちょっと陽介! やり過ぎ! 」 圭ちゃんは周に駆けつけようとするけど、俺は圭ちゃんを離さなかった。 「……っ痛え」 周が呻きながら身体を起こす。靖史も修斗もポカンとしてるけど関係ない…… 「周…… お前今わざと俺を挑発したろ? 乗ってやったぞ。満足か?」 腹が立って一発じゃ全然怒りは収まらなかったけど、意外に冷静に言葉が出てきて我ながら驚いた。 周は黙ってる。 俺は圭ちゃんを腕に抱きながら、さっきの周と同じように圭ちゃんの頭にキスを落とした。 「圭ちゃんにこういう事出来るのは俺だけだ。覚えとけ」 他人に圭ちゃんに触れられるのがこんなに不愉快に思うなんて。結構な独占欲だなとは思ったけど当たり前だ。そういうもんだろ? ゆっくりと立ち上がった周は、小さな声で「すみません……」と俺に謝った。 「圭ちゃんにも昨晩からの失礼な態度を謝れ!」 素直に圭ちゃんにもちゃんと謝罪する周を見届け、俺はスタジオの外に出た。 いつもならここで待ってる所だけど、さすがにこんな状況を作ってしまったので気不味い。先に圭ちゃんの家に帰ることにした。 場の空気を壊してしまったのが申し訳なかった。でもあれはどうしたって許せなかったんだ。やり過ぎ? と一瞬思ったけど、やっぱり圭ちゃんにあんな接し方をされるのは我慢がならなかった。 圭ちゃん帰ってきたら俺も謝ろう…… 時間的にもそろそろ帰ってくるかな? 圭ちゃんの部屋で俺はひとり待つ。 夕飯の支度でも……と思って冷蔵庫を見るも、材料があったとしても俺に何かを作れる気はしないし、すぐに諦めた。 とりあえずテレビをつけてソファに腰掛け、だらしなく画面を見つめた。 圭ちゃんまだかなぁ……

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