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大丈夫

二人で食べたラーメン。 お互いこれが大好きで、付き合い始めの頃からしょっ中食べに行ってたっけ…… 今日は何だか、味がよくわからなかった。 きっと圭ちゃんも同じ思い。 黙々と二人でラーメンを食べた。 圭ちゃんより少し早く俺が食べ終える。 いつもそう…… ひとあし先にご馳走様をした俺は、のんびりと圭ちゃんが食べている姿を眺めてるんだ。でも今日は俺が見ていると、圭ちゃんはチラッと視線を上げてからすぐに箸を置いてしまった。 「もうお腹いっぱい…… ご馳走様」 そう言って、圭ちゃんは立ち上がる。 会計を済ませて、俺たちはマンションへと向かった。 玄関に入ると、圭ちゃんはすかさず俺の背中に抱きついてきた。 「……ごめんね。陽介」 何で謝るんだよ。ごめんなんて言うなよ…… 不安になるじゃんか。 「ありがとな、陽介。俺が言い出すまで待っててくれてたんだろ?」 圭ちゃんの震える声が只々悲しかった。 「態度悪くてほんとごめん……」 俺にしがみつく圭ちゃんの腕に力が入る。圭ちゃんの緊張が俺に伝わってくる。何故だかわからないのに悲しくなってくる…… このまま話を聞いてもいいのかと不安になる。 「……平気だよ。圭ちゃん、謝らないでよ。俺、心配してるだけだから…… 怒ってないから」 そう言って、俺は圭ちゃんの手に自分の手を重ねた。 「とりあえず、リビング行こっか?」 圭ちゃんの手を掴んだまま、俺は靴を脱いで廊下を歩く。そのまま手は離さずに、二人でソファに座った。 横に座る圭ちゃんの顔を見ると、目と鼻を赤くして今にも泣き出してしまいそうだった。 「……まだ俺には言いたくない?」 俺の言葉に圭ちゃんは小さく首を振る。 「靖史から少し聞いてる。進路の事だろ?……悩んでるの?」 俺がそこまで言うと、やっと圭ちゃんは顔を上げて俺の方を見てくれた。 「……うん。進路の事…… っていうかこの先の事。もう殆ど決まってる事なんだけど…… 俺がどうしたいのかがわからないんだ」 圭ちゃんは俺の顔をじっと見る。 「……ごめん。どう話せばいいのか。俺の中でちゃんと決心ついたらちゃんと話すからさ……もう少し待っててもらえないかな?」 重なってる俺の手の上に、圭ちゃんがまた手を重ねた。ギュッと力を込めると、にこっと笑い俺の胸に顔を埋めた。 「……わがままでごめんね、陽介」 「大丈夫だよ。ちゃんと待つから……」 圭ちゃんの柔らかい赤い髪を弄りながら、俺は圭ちゃんの頭に口付けた。

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