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何があっても好きだから
優しくベッドに寝かせると、すぐに俺にギュッと抱きついてくる。
圭ちゃんは、何度も何度も俺に「好きだ」と囁いてくれた。
…… 嬉しかったけど、なんだか不安定な気がして正直俺は心配になった。
今日はいつもと違って、俺はゆっくりと優しく優しく圭ちゃんを抱いた。圭ちゃんはいつものように俺の愛撫に身を捩り可愛く反応してくれる。
まるで何かの呪文のように俺の耳元で愛を囁き続ける圭ちゃん。
…… 大丈夫だよ。
そんなに心配しなくても俺は大丈夫だから。
圭ちゃんを抱きながら自然と溢れてきてしまう涙を拭う。もう、何だっていいよ。苦しまないで…… 早く圭ちゃんの悩みが晴れますように、と願わずにはいられなかった。
「圭ちゃん…… 大丈夫だよ? 愛してる。どんなことがあっても俺は圭ちゃんが好きだから…… 心配しないで」
そう声に出して囁いたら、結局顔を真っ赤にして圭ちゃんは泣いてしまった。
ごめんね……
泣かせたいわけじゃないのに。
「陽介ごめんな。ありがとう…… 」
そのまま俺たちは抱き合ったまま眠りについた。
二日目もスタジオに入り練習。
竜太君は昨晩初めて飲んだお酒で二日酔いを起こしたらしく、康介についてもらってホテルに残った。でもその後、回復して買い物に行き知らない男に襲われそうになる……なんて出来事があり、大変だった。
まあ、何事もなく済んだんだけどね。
男だからって、油断出来ないんだな。怖い世の中だ……
この旅行が終われば、あっと言うに夏休みも終わりだ。
なんだか寂しいな。
これからはなるべく圭ちゃんと一緒に過ごすようにしようと改めて思う。不安定な圭ちゃんのため…… と思いつつ、俺がそうしていないと不安になるから、というのが本音だった。
旅行も終わり、二学期が始まった。時間の流れが早すぎて、気持ちばかりが焦ってる。
俺の夏休みは圭ちゃん達との旅行以外はほとんどバイトで終わった。しばらく家に帰らなかったら、いい加減お袋に怒られてしまった。
圭ちゃんと毎日一緒にいたいけど、しょうがないから泊まるのは週末だけにする事にした。
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