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クリスマスの夜

「ん……んぁ……陽介、あっ……陽介……好き……んっ……大好き…… 」 圭ちゃんが俺の下で可愛く喘ぐ…… その少し汗ばんだ首元には、俺がプレゼントしたネックレス。 「ずっとつけてるからね」と、はにかんだ圭ちゃんの顔、俺は絶対忘れないよ── 圭ちゃんと二人で過ごす最後のクリスマス。 ライブの打ち上げからやっと解放されて、圭ちゃんの部屋へ帰ってきた。 二人でクリスマスプレゼントを交換した。 圭ちゃんからはお洒落で大人っぽい革製のペンケース……学校で使ってね、だって。 相変わらずセンスがいいな。 それに俺の好みをちゃんとわかってくれてる。 凄く嬉しい。 俺からはネックレスをプレゼントした。革紐に小さなシルバーのプレートの付いてるやつ……一応奮発して有名ブランドのネックレス。本当はプレートに刻印したかったけど、おもくなるからやめた。 そして圭ちゃんには内緒だけど、そのネックレスは俺とお揃い。同じ物を俺も自分のために購入した。 圭ちゃんはカッコいいって喜んでつけてくれた。 圭ちゃんの笑顔を見て、俺は泣けてきそうなくらい嬉しかった…… 俺も圭ちゃんも軽く酔っ払って、二人で機嫌よくシャワーを浴びて、そのままベッドへとなだれ込む。 さっきまでの切ない気持ちを心の奥に追いやり、欲望のまま俺は圭ちゃんを抱いた。 それでも…… 圭ちゃんが俺の名前を吐き出しながら、好きだと泣きそうな顔をして喘ぐのを見ると堪らなくなる。 そんな顔して俺の名前を呼ぶなよ……泣くのを堪えながら「好きだ」なんて……言うな。 離れたくない。 何で?と頭の中で繰り返す…… 俺は圭ちゃんの首元に光るネックレスのプレートに口付けた。 「 あっ!……陽介、ちょっ……んぁっ……やっ! あっ……あぁ……はげしぃ……あん……や! 」 俺は夢中で圭ちゃんに腰を打ち付ける。 別れを考えるな……寂しい気持ちを必死に追い払う。 圭ちゃんだってきっと俺と同じ思いだ。 別れを決めた日から何度か体を重ねたけど、お互い今まで以上に激しくぶつかり合った。 残りの時間を意識して。 お互いの体に思いを刻み込むように…… そして終わってからは決まって俺に背を向け、圭ちゃんは少しだけ涙するんだ。 バカな圭ちゃん。 俺の事、一生縛り付けたって全然構わないのに…… もっと甘えてくれてもいいのに。 圭ちゃんの涙に気がつかないふりをしながら、今日も俺は圭ちゃんの背中を抱きしめて眠りについた。 翌朝、甘い匂いで起こされる。 圭ちゃんが用意してくれたフレンチトーストを食べながら、年越しと正月の相談をした。 「年越しライブ終わったらさ、そのまま初詣行っちゃう?」 俺がそう提案するけど、圭ちゃんはあんまり乗り気ではなく、う〜ん…と唸ってる。 「なに? 都合悪い? 何か用事でもあんの?」 少し間があって圭ちゃんが言った。 「陽介と旅行したいなって思って……宿、予約しちゃった……」 は? マジで? 驚いた! 「何? そのサプライズ! どこ? なんで急に……俺にも言えよ! 都合つかなかったらどうすんだよ」 嬉しくて思わず大きな声をだしてしまった。 「いや……年越しライブも来てくれるし、そのあとは俺と過ごしてくれるもんだと思ってたから……大丈夫だろ? 温泉一緒に行こ」 おっしゃる通り、俺の予定は年末年始も圭ちゃん一色。 「もう! 圭ちゃん、嬉しい! ゆっくりしような。温泉かぁ…… 楽しみ」 突然の圭ちゃんの提案。今からとても楽しみだ。

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