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年越し

クリスマスライブが終わると今度はすぐに年越しライブ。 ここ最近は時間のたつのが早すぎる…… クリスマスに陽介からプレゼントを貰った。 俺たちの最後のクリスマス。 俺からは革製のペンケースにした。 陽介は卒業したら美容の専門学校に行くと 聞いていたから、学校でも家でも毎日使うもの……そう思ってペンケースにしたんだ。 アクセサリーとかも考えたけど、おもく感じるかもしれないからやめた。 陽介は俺にネックレスをプレゼントしてくれた。 これ、結構値段高いはず…… きっとこれで最後だし、俺のために奮発してくれたんだな。 陽介らしいセンスのいいネックレス。 プレートの部分に文字を入れられそうなデザインだけど、何度見ても何の刻印も無かった。 俺は何を期待してんだろう。 陽介からのプレゼントを首にかけてもらった。 首筋にふと触れる陽介の指先に、目頭が熱くなった。 「ずっとつけてるからね」 俺は精一杯の笑顔で陽介にそう言った。 これをつけてる俺を、いつになるかはわからないけど、もう一度見てもらうんだ…… 優しい笑顔で俺を見る陽介。 俺は一生忘れないからね。 年越しライブ── カウントダウンもするだけあって、普段のライブより客も多い。 周は竜太君が来られなかったからか、さっきからやる気のない顔をして控え室からずっとボンヤリしている。 俺は周に近づき、肩を叩いた。 「周! 竜太君いなくたって真面目にやれ! それにさ……… 」 俺の都合を押し付けるのもアレだけどさ……残り少ないライブ、俺は全力で楽しみたい。 「……楽しもうぜ! な?」 俺の思いが伝わってしまったのか、周が涙目になってしまった。 「周…… お前がそんな顔すんなって。まだまだやるよ! はいっ! 気合! 」 お前はそんなキャラじゃねえだろ。 俺は笑って周の両頬をパチンと叩いて気合を入れてやった。 周は自分でも頬を軽く叩き、ステージに上がった。 なんか、本当…… 申し訳ない気持ちでいっぱいになる。 でも、時間が経てばみんな忘れていくんだ。 大丈夫…… 今年も年越しも陽介と一緒に過ごせた。 みんなで行った遊園地の観覧車で、陽介は思い出をいっぱい作ろうなって俺に言ってくれた。 修斗に誘われて行ったこの遊園地も、陽介と行くのは初めての事で、これもいい思い出。 みんなで合宿と称して旅行は毎年してたけど、陽介と二人で旅行はしたことがなかった。 それに気がついたら、無性に二人で旅行をしたくなった。 陽介に確認も取らず、衝動的に俺は宿を予約する。 急だったけど、露天風呂付きの部屋を押さえることができてホッとした。でもそれと同時に我にかえり、自分のこの行動に少し驚いてしまった。 陽介はサプライズだと言って凄く喜んでくれたからよかったけど……俺は何をやってんだかな。 ずっと一緒にいたい…… 思い出作りなんかしたくない。 それでも陽介とたくさんの思い出を作りたい。 頭の中がごちゃごちゃだ──

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