2 / 12

第2話

 学校に到着し、さて、いつもの日常が・・・・・・と思いきや、教室に入って、もう一度思い知る。  俺とあいつは一生、離れられないんじゃないかと。  何でよりにもよって、同じクラスなんだよ・・・・・・。  なんか、もう、泣きたくなってきた。  自分の机に俯いていたら、聞き慣れた優しい声が聞こえた。 「なぁに、泣きそうになってるんだ?」 「僚也ぁ・・・・・・」  こいつは重野僚也。俺の唯一の親友だ。  僚也は茶髪で両耳に赤色のピアスをしている。それが何とも言えない色気というのを出している。顔も整ってるし、俺もイケメンだと思う。それにすごく優しい。時々、毒舌になるときもあるけど・・・・・・。  俺は思わず、僚也に抱きつく。 「聞いてくれよ」 「おお、聞いてやるよ」  僚也は優しく、俺の髪をわしゃわしゃと撫でてからそう答えた。  俺、僚也が頭を撫でてくれるの落ち着くから、結構好きなんだよね。  今日の朝の出来事から黒金について全てを話した。 「お前、それってめちゃくちゃ不幸すぎるじゃん」  そう言って、僚也はおなかを抱えて笑っている。 「笑い事じゃねよ。誰か、嘘だと言ってくれ。俺、現実受け止めれねぇー。てか、僚也の家に泊めさせてくれ-」 「無理だ」 「即答かよ・・・・・・裏切り者」  涙を浮かべ、僚也を見つめた。 「っ・・・・・・しょうがねぇーな。遊びに来たとき少しなら泊めてやる。でも、どうしてもってなったときだけな」  それでも、俺は嬉しくて僚也に抱きついた。 「ありがとよ。やっぱ、持つべきやつは親友だよな」 ***  俺はその状況を飲み込めないでいた。 「だから、昼飯一緒に食うぞ」 「はぁ?」  俺は自分の耳を疑った。とうとう、俺の耳はイカレタとも思ってしまった。  こいつは今、なんて言った? 一緒に食うぞ?  冗談じゃない!! 誰がこんなやつと一緒に!! 「僚也、屋上で食べようぜ。こんなやつの顔を見ながらじゃ飯がまずくなる」 「ああ」  僚也を連れて屋上に向かった。  その場所で弁当を広げたら、僚也は変なことを聞いてきた。 「なんか、同居してあいつとなんかあったのか?」  俺は僚也の言葉にさえ、自分の耳を疑ってしまった。 「あ、あるわけないだろ! あいつと関わるかよ! 俺の野望を全てあいつに邪魔されたんだ。これ以上関わったらどうなるか、わかったもんじゃねぇよ!」 「ごめんって、そんな怒るなよ。でも、変だよな。今まで、何も興味を示さなかったのにな」 「そうだな・・・・・・」  確かに、僚也の言うことも一理ある。  俺は今まで、何かとあいつに突っかかった。それも嫌がらせに近い。それでも、あいつは無視をし続けた。あげくには俺を嘲笑い、皮肉を飛ばしてくる。  あー、思い出しただけで、反吐が出る。  ったく、どんな心変わりだよ。  いらつきながら、母さんが作ってくれた弁当の具を口いっぱいに入れた。  うまい飯もあいつのせいでおいしくねぇ。 「おい、勇真、米粒口に付けてんぞ」 「へぇ?」  僚也は俺の口元についていた米をとり、自分の口の中に運んだ。  えぇー!! ちょっと、食べちゃったよ。  急に恥ずかしくなり、顔がどんどん熱くなるのが分かった。 「お、そろそろ、授業始まるぞ」  僚也は何事もなかったように立ち上がった。 「お、おう!」  先に行く僚也の背中を置いて行かれないように追いかけた。 放課後  そして、事件は起こった。  なぜか、俺と黒金が同居していることが学校中の噂になったらしい。  それはもう、女の子たちがあれやこれやいろいろ想像して、キャーキャー言ってるくらいだ。  なんだよ。一体! 兄弟になっちまったんだから仕方ないだろう!  そんな時、俺に用があるって言う、かわいらしい女の子がやってきた。  これは!? まさか、あれなのか?  俺はちょっとだけ期待した。  教室の廊下でその子はもじもじとした。手には何か持っていた。  これは、ラブレター!! 「あの、高宮くんは黒金くんと一緒に住んでいるんだよね」 「え、そうだけど・・・・・・」  ん? なんか嫌な予感がしてきた。 「この手紙! 黒金くんに渡してください! お願いします!」  そう言って、ラブレターを押しつけられ、その子はすぐに走り去ってしまった。 「え・・・・・・」  嘘だろ・・・・・・。俺のじゃないのかよ。  呆然と立ち尽くし、誰かに肩を叩かれた。 「お前、これからそんなのばっかり受け取るぞ」 「マジかよ。僚也、俺、もう死にたい」  僚也が優しく俺を抱きしめてきたと思ったら、毒を吐く。 「そうか、なら、死んじまえ」 「えっ!? なんで! ひどっ!」 「冗談だ」  僚也はくすくすと笑って、俺の髪をわしゃわしゃした。  くそ! 黒金め! この恨みはらせねぇーと!

ともだちにシェアしよう!