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第3話

*僚也サイド*  教室に入ったら、勇真が机に伏せっていた。それに泣きそうな顔をしていた。  また、黒金がらみだろうな。 「なぁに、泣きそうな顔してるんだ?」  勇真は「僚也ぁ・・・・・・」とネコみたいに泣きついてきた。 「聞いてくれよ」 「おお、聞いてやるよ」  優しく、俺の髪をわしゃわしゃと撫でてからそう答えた。  ホント、勇真はかわいいな。  柔らかい髪が手に絡んでいい感じだ。  勇真は黒金のことはそれは、それは嫌そうに話した。 「お前、それってめちゃくちゃ不幸すぎるじゃん」  かわいそうだけど、なんでこう笑えてくるんだろ。  俺はおなかを抱える。 「笑い事じゃねよ。誰か、嘘だと言ってくれ。俺、現実受け止めれねぇー。てか、僚也の家に泊めさせてくれ-」 「無理だ」 「即答かよ・・・・・・裏切り者」  涙を浮かべ、僚也を見つめた。  ああ、その顔は、反則だ・・・・・・。 「っ・・・・・・しょうがねぇーな。遊びに来たとき少しなら泊めてやる。でも、どうしてもってなったときだけな」  そういったら、めっチャ笑顔で俺に抱きついてきた。  かわいいやつ。 「ありがとよ。やっぱ、持つべきやつは親友だよな」 昼休み  俺は目を見開いて、二人の様子を見ていた。  まさか、黒金のやつがあんなことを言うなんて。 「だから、昼飯一緒に食うぞ」 「はぁ?」  俺だけではなく、もちろん勇真も驚いてる。 「僚也、屋上で食べようぜ。こんなやつの顔を見ながらじゃ飯がまずくなる」 「ああ」  まあ、そうなるよな・・・・・・。  ドシドシと怒りを込めながら歩く勇真についていった。  屋上で弁当を広げ、俺は聞いてみた。 「なんか、同居してあいつとなんかあったのか?」 「あ、あるわけないだろ! 誰があいつと関わるかよ! 俺の野望を全てあいつに邪魔されたんだ。これ以上関わったらどうなるか、わかったもんじゃねぇよ!」  うわ、こりゃ、やばい。さらに、あいつのこと恨んでるな。 「ごめんって、そんな怒るなよ。でも、変だよな。今まで、何も興味を示さなかったのにな」 「そうだな・・・・・・」  黒金はどういうつもりだ?  勇真は弁当の具を口いっぱいにほおばって、口に米をつけていた。  全く、こいつはかわいいとこだらけだな。 「おい、勇真、米粒口に付けてんぞ」 「へぇ?」  俺は口元についていた米をとり、自分の口の中に運んでいく。  めっチャ見てる。あ、赤くなった。  笑いを堪え、平然とした態度をとる。 「お、そろそろ、授業始まるぞ」 「お、おう!」 放課後  勇真が女の子に呼び出されて、廊下で何かを受け取っていた。 「この手紙! 黒金くんに渡してください! お願いします!」  そう言われ、ラブレターをどうしたらいいか分からずおろおろとしていた。  たぶん、自分にくれると思ったんだろうな。  呆然と立ち尽くしてる勇真を現実に引き戻すため肩を叩いた。  これが、一度で済めばいいけどな。でも現実はそんなに甘くない。 「お前、これからそんなのばっかり受け取るぞ」 「マジかよ。僚也、俺、もう死にたい」  優しく抱きしめ、俺は毒を吐く。 「そうか、なら、死んじまえ」 「えっ!? ひどっ!」 「冗談だ」 「冗談になんねぇよ。俺ショック」  やっぱり、いじりがいがある。一つ一つの反応がおもしろい。  俺は笑みを浮かべ、勇真の髪をわしゃわしゃした。

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