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第9話

 黒金の謎のキスをされて二週間・・・・・・。    あれから、やつとは口をきいていない。  ほんと訳が分からん。  それはともかく、今日は林間学校だ!  青い清々しい空の下、広々と続く若葉が生い茂る草原に俺たちは立っていた。 「今日は待ちに待った林間学校だぁ!」  キャンプ場に着くや否や俺は大声でさけんだ。 「ちょっと、高宮。恥ずかしいからやめてよ!」  近くにいた如月が俺にチョップを入れる。  この2週間の間で、桜と如月、俺と僚也の中は結構良くなったと思う。 「き、如月、俺の体になんてことを・・・・・・」 「あんたが悪い」 「なにをぉ!」  今にも火花が散りそうな俺たちの間に僚也と桜が割り込む。 「せっかくの林間学校なんだから、喧嘩してたらつまらないよ・・・・・・」  桜は小さな声で主張する。 「さ、桜ちゃんがそう言うなら」  俺は桜ちゃんにすごく弱い。あのかわいさはもう卑怯だと思う。 「そういうことだ。早く、進もうぜ。テント立てるとこはこの辺りならどこでもいいらしいか ら。いい景色が見えるところにでも建てよう」  僚也の言葉で俺たちは声を合わせておーと言った。 テントを張って  俺は周りを見渡した。  土日でもあるせいか、一般客はもちろんのこと他の学生もちらほらといる。 「それにしても、俺たちの他にもキャンプに来てるやつ多いな」 「そうだな。俺たちは俺たちで楽しもうぜ」 「おうよ」  いろいろ準備をしていると桜と如月が近くの湖を見にいきたいと言い出した。  することもなく、俺と僚也は二人に付き合うことにした。  林の中の一本道を四人で会話を楽しみながら進んでいく。  すると、反対側から2人組の大学生くらい男子が歩いてきた。  なにやら、にやつきながらこちらに向かってくる。 「ねぇ、君ら高校生?」  帽子を被ったチャラそうな一人が桜に声をかける。  人見知りでもある桜は下を向き、おどおどする。 「あれ? 緊張してるはるん?」  もう一人の男は銀髪で、耳にブルーのピアスを付けているやつが桜の顎を上げる。  とっさに、俺は銀髪の腕を払った。 「おい、こら。怖がってるだろ! 桜ちゃん下がって」 「高宮くん」  桜は如月のそばに行く。 「ナイトさんのご登場ですか。かっこいいですね」  銀髪はからかうようにいった後こっちにを睨み付けてくる。俺も負けじと睨み付ける。 「今日はナイトさんがいてはるから、たいさんしましょか」  帽子を被ったやつがそう言うと、金髪は舌打ちをして立ち去った。 「なんだったんだあいつら・・・・・・桜ちゃん大丈夫?」 「うん。ありがとう」 「勇真、かっこよかったぞ! ひゅーひゅー」  僚也がにやけながら、口笛を鳴らしてきた。 「お前な~。少しは手伝えよな」 「いや~、ナイトは一人で充分かと」  そういわれて、納得してしまった。 「今日はやめとこっか。なんか、行く気無くなっちゃった」  如月がそう切り出し、俺たちはテントに戻った。  テントではお昼ご飯を作ることになり、それぞれが担当してカレーを作ることになった。  僚也と如月がご飯と火を担当。  俺と桜はカレーの具担当で野菜を取り先生の所に向かっていった。  よし! 桜ちゃんと二人きりだ! なんかはなさいと! 「な、なんで、もっと近くに具材用意しなかったんだろうね。テントまでの距離が長い」 「そ、そうだね。もうちょっと近くの方が取りに行きやすいね」  何とも言えない会話・・・・・・しっかりしろ俺!  それから、少し進んだら、黒金とすれ違った。  俺は、目を合わせずに通り過ぎた。  そして、その帰りにまた、出会ってしまった。しかも、俺ら以外、人がいないところで。 「ナイトさん、さっきぶりやね」    銀髪が後ろから俺に声をかけた。 「うわ! またお前か!」  荷物を持っていた俺は振り返り、睨み付けた。 「桜ちゃん、先に行ってて! 俺なら大丈夫だから」 「で、でも・・・・・・」 「いいから!」  桜は泣きそうな声で「うん」と頷いて、走り去った。 「よぉし、これでお前らの目的の子はいなくなったぜ」  袋を両手に持ってかっこよく言ったが、決まるわけがない。 「悪いけど、はなから目的はあの子やなくて君やから・・・・・・」  ゴンと鈍い音が鳴り、頭に衝撃が走る。 「いっ、・・・・・・を」  背後に近づく気配に気が付かず、何か堅いもので殴られて俺は道に倒れ込んだ。

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