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第20話 ※

 入れたまま抱きしめあって、キスするというのを数分続けていたが、乱れ狂う冬夜が見たいと思ったアシュレイは、ゆっくりと律動を開始させた。 「んっああ……」  動き始めた中に、冬夜は甘い声を上げる。ハロウィンの夜の時よりも、少し声を出すのに躊躇いがあった。あの時は、謂わば旅の恥はかき捨てという状態だった。  だけど、今回は心も通じた正式な愛し合うもの同士としてのセックスである。  アシュレイに少しでもよく思われたいという考えが起こり、冬夜は声を抑え気味にした。  しかし、冬夜の思惑はアシュレイの望みとは正反対だった。  アシュレイの腰の動きが、だんだんと早くなっていき、内側からググッと抉られる感覚に、声を抑えようと言う理性が溶けていった。 「あっああっ!は、はげしっ…!もっと、ゆっくりぃ…!あんっあっ!」  じゅぷじゅぷと繋がったところから大きな水音がたち、それが静かな塔の中の部屋に反響して、その行為がどれほど濃厚かを冬夜に分からせる。 「冬夜、声を抑えようとしないで…もっと可愛い声を聞かせてくれ…ッ!」 「あんッ、ひ、ああ」  恥ずかしい。可愛い声なんていうが、男だし本当に出せているか不安だ。  それとも、こんな声でもアシュレイは可愛いって本当に思ってくれているのか。  しかし、冬夜が声を出そうと堪えようと、どちらかに意識を向けたとしても、そんなコントロールが聞かないくらい、冬夜はアシュレイに見出されていった。  冬夜の目の前には、脚を軽々と抱えて、気持ち良さそうな顔で冬夜の尻に腰を打ち付けるアシュレイがいる。  さっき沢山キスしたけど、またキスがしたいなと思った。背中がベッドとくっついているのを、なんとか起こしてアシュレイに顔を近づける。  その間も、激しいピストンは繰り返されている。 「ああっ!あッ!ううぅん、アシュ、レイッ!」 「はっはっ……冬夜?」 「キスしたい…っ!あひっ、ひんっ!キスしながら、あんっ!したい…! 「ああ、いいぞ。しよう」  アシュレイは心なしか嬉しそうに微笑むと、そのまま冬夜の体をまたベッドへと押しつけて、のしかかるようにキスをした。  キスしながら、という要望通り、性器を後孔から出し入れしたまま。  ピストンに合わせて、口が少し離れたりくっついたりを繰り返す。  離れるのが寂しくて、舌を伸ばしてそれを絡ませあった。 (あっあっ…!イキそう、もう、絶対に、気絶しないようにしくちゃ……) 「んっ、んんっぅうう〜〜ッ!」  喉から絶頂の悲鳴を上げ、冬夜は射精した。男の絶頂にしては長い昇天の最中、アシュレイも冬夜の中で果てる。  パッと、愛と欲望の熱が、中で花火でも起きているみたいに中で弾ける。  まるで微弱な電流を流され続けるような余韻に、ぴくぴくと体を震わせながら、賢明に開けた目で、アシュレイがそこにいることを確認した。

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