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第27話 屈辱④
巨大なベッドの上、様々な種類の体液に塗れた悲惨な状態で、ヴォルフは薄く意識を保ちながら横たわっていた。
ヴォルフを屈服させ、ウェアウルフの征服契約により彼の主人となった一誠によって、無体を働かれまくった。何せ命令すれば、どんな無茶な願望も僕となったヴォルフには叶えられてしまうのだ。
一誠の化物じみた好奇心によって、ヴォルフの身体は隅々まで暴かれ、弄ばれた。
死にたいくらいに屈辱的なのに、同時に契約の効果で主人から与えられる全てのものに喜びを見出してしまう。心が真っ二つになりながら、魔界の夜が明けるまで一誠とのセックスは続いた。
一誠はというと、ヴォルフが動けなくなっている数時間のうちに睡眠を取って、爽快そうな目覚めを迎えていた。ヴォルフはずっと起きていて入眠から覚醒までをみていたが、どうみても人間の睡眠時間として足りていない。
一誠はショートスリーパーであった。
「ヴォルフ、気分はどうだい?」
「ざ、ざいあぐ……」
「お、そういえば脚のナイフ、まだ刺さったままだったね。もう儀式はすんだ。抜いておこう」
まるで気遣いのない手つきで乱暴に太腿からナイフを引き抜くと、ハンカチで包んで大事そうに懐に仕舞い込んだ。
「お前……マジで、ふざけんなよ……」
「だって、こうでもしないと君は私を殺すつもりだったじゃないか」
「元はと言えば……お前が、魔界を詮索しすぎたから……」
「書庫に入れてくれたのは君だ。自業自得、としか私には言いようがない」
ナイフの効果がなくなり、徐々に体力を回復させて行ったヴォルフは未だに甘く痺れる身体をベッドから起こした。
べたべたと全身が水っぽい。汚い。何かで拭こうと思っても、ベッド自体もかなり汚れている。
ふと、ヴォルフが自分の身体を眺めると、自分が今まで下位の群のリーダーにつけてきたような契約の印がはっきりと浮かび上がっているのを見て頭を抱えた。
「女性の子宮を象徴化したような文様だ。もしかして、これを付けられると妊娠などが可能になったりするのかな?」
「……ッそんなことが起きるのはごく稀だ。奇跡みたいなもんだ」
「確率は非常に低いが不可能ではない、か。魔界の人狼って結構不思議な生態をしているね」
いちいちヴォルフの気に触る話し方をする一誠。勿論彼自身、無自覚である。
ヴォルフは手が出そうになるのを堪えながら(もっとも、契約のためにそれもかなわないことではある)ベッドから降りようとする。
すると、どろぉっと後孔から溢れ出してきた液体の感触に、腰の力が抜ける。触って確かめてみると、それは昨晩一誠によって中に出された精液だった。
「〜〜〜〜〜ッ!!」
顔に血が集まるのを感じる。どうしても一誠に文句の一つでもぶつけなければ気が済まない。
「てめえ!!一体どんだけナカに出しやがった!!」
「……つい、夢中で。気持ち良さで我を忘れてしまった。すまないね」
「くそっ!」
ベッドのシーツを手繰り寄せて、腰にまいてヴォルフは立ち上がる。重力に従ってさらに奥の方に注がれた液体が流れ出てくるが、構わず水浴び場へと急いでいった。
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