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不屈のラブファイター 5

 翌朝。 いつものように満面の笑みで暁がやってくる。 「伊織さんっ!!おっはよーご」  くわぁん、と甲高い音が鳴り響く。 暁はKOし、高杉は今しがた暁をKOしたフライパンの心配をしている。 「相変わらずの手痛い歓迎…」  鼻を抑えながら立ちあがった暁は、次の瞬間すぐにまた嬉しそうなニコニコ顔になった。 「あれ?髪切ってます?」  高杉は背を向けたまま、無視して調理にいそしむ。 「ねぇ、もっとよく見せてくださいよう♪」  暁がはしゃいで高杉の腕を取ると、熱していたフライパンを暁の手に押し当てた。  一瞬凄い形相になったものの、暁はかまわずついでにというか仕返しにというか高杉の唇を奪った。 「何するんだ、人の唇を何度も軽々しく…」  急いで暁を振り払って顔をそむける高杉。 そんな高杉に暁は背後から言葉を続ける。 「綺麗です。ますます手に入れたくなった」  言われて高杉は暁の方に振り返ったが、同時に暁には包丁が突きつけられていた。 「一つ言っておくぞ。俺は何度も静流くんを抱いた。…何が言いたいかわかるな?」  暁ははっとして、真剣な表情で答えた。 「つまり、もう静流は飽きたから、そろそろ俺に抱かれてみたいと…」 「おめでたい脳ですね」  震える声で引きつった笑いを浮かべながら、高杉は包丁を振りかぶっている。そして、一から十まで言わないとわからないヤツめ、と蔑みながら、丁寧に説明しなおした。 「俺は誰かを『抱く』ことはあっても、誰かに『抱かれる』ことはないってことだ」  そ…そうか!! やっと言葉の意味を理解した暁の背後で、妄想の崩れる音がした。 ちょっと考えりゃ分かること。 つまりは、ちょっとも考えなかったと言うことである。  しかしそこは暁、すぐに立ち直ってふふふと笑った。 「いいですよ、伊織さんなら。一から手取り足取り教えて欲しいなぁ。やさしくね」  さすがにもう諦めただろうと思っていた高杉は、しばらく動作が止まってしまった。 「誰がやさしくなんてするもんか。お前が静流くんにしたのと同じ目に遭わせてあげましょうか?」  暁が小さくなってぶんぶん首を振っているのを横目に、出かける準備を終えた高杉は 「仕事に出かけるからさっさとでてけ」  と命令した。  

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