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不屈のラブファイター 6
が。
「ついて来いとは言ってないぞ…」
数分後、ため息をつく羽目になる。
職場の前まで来ると、見慣れた人影が。
「高杉さん」
「あっ、静流くん」
二人は暁の存在などまるではなからないものかのように、二人だけで盛り上がっていた。
「今度紫苑がショーやるんで、是非高杉さんにも来ていただきたいと思って…」
「そうなんですか!是非伺います」
暁には絶対に見せない、嬉しそうな笑顔。
しかし暁は見逃さなかった。静流が高杉に2枚チケットを渡したことを—―。
「それじゃお仕事頑張ってくださいね。引き止めてごめんなさい、失礼します」
謙虚にぺこりと頭を下げる静流に、
「わざわざどうもありがとう。今日一日凄く頑張れそうです」
デレデレに笑って手を振る高杉。そしてその後で中指を立てる暁。
そして二人はまた歩き出す。
「なんだよあいつ。普通自分のこと好きってわかってる人を、自分が付き合ってる人のショーに呼ぶかねぇ」
釈然としない、という感じで訴えてみる暁だが、高杉はデレデレしたまま聞いちゃいなかった。
「あいつもしかして性格わる…」
そんなところは聞こえていたらしく、喉元に手刀がお見舞いされた。暁も反撃に出た。
「いいように利用されてるんですよ伊織さんは!今のヤツに捨てられたときのキープだし、困った時だけ頼ってきて…」
先を歩きながら振り返りもせずに高杉は答える。
「いいんだ、ほっとけ。必要とされる時があればそれで…」
「何らしくないこと言ってんです!伊織さんこそ年下のヤツのご機嫌とっててみっともないですよ!」
そこまで言われて高杉は暁の方に向き直った。
そして、得意の悪魔のような微笑みでこう言うのだ。
「じゃあ嫌えば?」
「へ?」
「そんなにみっともないんなら、今すぐ俺のこと嫌いになれよ」
しばしの沈黙の後、できないっ、と頬を膨らませる暁に、「かわいくないぞ」と残してまた高杉は歩き出した。
そしてまた暁は約9時間後のためにひたすら待つ人と化す。
9時間の間、いろんなことを考えた。
高杉の金魚のフンになってから、何か進展はあったのだろうか?
自分は高杉の心の何%かを占めることは出来ているのだろうか?
結局自分が何をしようと、あの人には痛くも痒くも無いのだ。
きっと自分がもし死んでも、あの人は—―。
そんなことを考えたいたら、時間は飛ぶように過ぎた。
(でも、なんだかんだ言っても好きなんだな…)
情けない気持ちで、高杉の後を歩く暁だった。
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