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第3話

様々な部署があるこの会社は、繁忙期を除けばある程度の融通が利くまぁまぁホワイトな会社だと思っている。というのも、「残業代が~」とか「休みがない~」とか、ましてや体調不良の中出勤を強要することもない。 元々制作に興味のある人間はそちらに関われる部署へ、そうでない人間は自分のように営業だとか経理だとかそういった部署へ配属される。 上司からのパワハラだとか、そういったものの報告も耳にしない。 何が言いたいかというと、わが社は『働きやすい会社』であるということだ。 働きやすいから辞める人間も少ない。だからこの会社は毎年新入社員を入れるとしても数人。その数人が活躍出来るように指導するのも自分の役割だった。 ...のだが、その指導もここ数年縁が無い。 数少ない新入社員は、産休や家庭の事情で長期の休みを取っている社員がいる部署へ優先的に配属され、落ち着いたら希望の部署へ改めて配属されていく。 『営業』という仕事は人気がないのか、その誰からも希望されずに同じメンバーのままだった。 それが今年、ようやく明るい知らせが届いたのだ。 「営業部希望の新入社員がいる」 という、部署全員の顔がパッとなるような、そんな知らせが。 (この部署に新しい人間が入るのは、あの時ぶりか...) ふと頭を過ったのは、自分が心を奪われた一人の男の顔だった。 割り切ってはいるものの、どこか懐かしい『恋していた』あの頃は、必死で自分らしくなくて...甘酸っぱい思い出として脳裏に残っているのだ。

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