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第11話

その夜は、不思議な程に寝心地が良かった。 自分の物とは違う整髪料の香り 細い髪がたまに鼻に当たり、それがこそばゆくて、でも嫌じゃなくて。 暖かい何かをギュッと抱えている感覚、それはもうここ何年も感じることのないもので安心して。 離れないようにと力を入れて抱き締めれば、それを返すように身体に巻き付いた腕から同じ位の力が返ってきて、嬉しくて。 自分より小さな身体を守るように、 自分の大切な宝物を他人に奪われないように、 そうやって独占欲を丸出しにして抱き締めて眠った夜。 『あの頃』、生意気な部下だった彼を、少しの間だったが恋人として過ごした彼を、こうして腕に抱えて眠った夜のような... 「...ひ...びき...」 ーーもうずっと忘れていた、懐かしいあの頃のようだった。

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